日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第20回研究会
日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第20回研究会を開催致します.
- 開催日:2015年12月11日(金)
- 会場 :東京大学工学部6号館セミナー室A・D
- 住所 :〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
本研究会は,JSIAM Letters の投稿条件を満たす研究会です.
【懇親会】
研究会終了後,懇親会を開催致します.懇親会の詳細・参加申し込み方法につきましては こちら をご覧下さい.
【運営委員会】
セッション1終了後,「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会の運営委員会を開催いたします.運営委員の方は こちら をご覧下さい.
プログラム
オープニング(10:25 〜 10:30) 主査: 多田野 寛人(筑波大学)
セッション1(10:30 〜 12:00) 座長: 宮田 考史(福岡工業大学)
- 講演1(10:30 〜 11:00)
周回積分型固有値解法を用いた半教師付きスペクトラルクラスタリングと画像領域分割への適用
○上田 隼也(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学),保國 惠一(筑波大学)概要:スペクトラルクラスタリングと呼ばれるクラスタリング手法がある.この手法はグラフ分割問題を固有値問題に帰着させることで,対象とするデータを固有ベクトル空間に射影してクラスタリングを行う.提案手法は,固有ベクトルの要素に事前知識に基づく制約条件を課した固有値問題を,周回積分型固有値解法を用いて解くものである.提案手法の応用例として画像領域分割への適用を示す.
- 講演2(11:00 〜 11:30)
制御理論に現れる最小特異値を用いた関数の極値問題について
○成瀬 由基(名古屋大学),曽我部 知広(名古屋大学),宮武 勇登(名古屋大学),張 紹良(名古屋大学)概要:本研究では,行列の最小特異値を用いた関数の極値問題を取り扱う.この特殊な関数の極値を求める際,パラメータ依存の標準固有値問題が現れ,各標準固有値問題における実固有値の有無を調べる必要がある.本発表では実固有値の有無に関して行列の構造がSkew-Hamiltonianであることを利用し,shift-and-invert Arnoldi法を用いた計算手法とその効果を報告する.
- 講演3(11:30 〜 12:00)
正定値対称行列における直和分解と同時ブロック対角化
○石井 政行概要:正定値対称行列における連立一次方程式や固有値問題における効率の良い問題の解き方のアルゴリズムの提案は重要なことである.大学の教養課程における線形代数における直和分解と可換な複数の行列における同時ブロック対角化は,最近トレンドの並列化との相性もよくこの直和分解と同時ブロック対角化は,既存の方法では一旦固有値を求めることになるので手間がかかる.ゆえに,本研究では固有値を求めずとも直和分解や同時ブロック対角化を達成するアルゴリズムの提案と数値実験における検証を行った.
昼休み(12:00 〜 13:30)
セッション2(13:30 〜 15:00) 座長: 櫻井 隆雄(日立製作所)
- 講演4(13:30 〜 14:00)
虚数シフトのレゾルベントの多項式の実部をフィルタに用いた実対称定値一般固有値問題の中間固有値を持つ固有対の解法
○村上 弘(首都大学東京)概要:実対称定値一般固有値問題の指定区間に固有値を持つ固有対を求めるのにフィルタ対角化法を用いる.フィルタ作用素には虚数をシフトとするレゾルベントの多項式の作用の実部を用いる.多項式の係数はフィルタがなるべく良い特性を持つように決める.使用するレゾルベントが複数ではなくて1つだけなので,レゾルベントの実現に必要な行列分解の計算量と分解された因子を保持するための記憶容量が少なくて済む利点がある.数値実験として,簡単なテスト問題である三次元立方体領域に於ける零ディリクレ境界条件でのラプラシアンの固有値問題を有限要素法により離散化して得られる三十万次程度の実対称定値一般固有値問題に適用して有効性を確認した.
- 講演5(14:00 〜 14:30)
新しいEisenstat型前処理の提案
○藤野 清次(九州大学情報基盤研究開発センター)概要:従来,その収束性のよさと計算量が少ないという特長からEisenstat型-SSOR前処理がよく知られている.そこで,ここで採用されたアイデアをベースにして,新しいEisenstat型前処理を考案したのでその評価結果を報告したい.
- 講演6(14:30 〜 15:00)
オイラー角の非直交軸への拡張に関する補題
○浜田 充(玉川大学)概要:最近得られた Hamada (2014) [ R. Soc. open sci. 1: 140145 ] の補題6.1を一般化する.これは,任意の回転の,オイラー角を用いた3因子への分解に関するものであるが,分解の因子である3つの回転うち両端の回転の軸は同一であった.本研究では,この制約を緩和し一般的な状況を扱う.補題中でオイラー角によるパラメタライゼイションを一般化したものを用いるがこれに関する結果も述べる.2014年論文の補題6.1は,回転の構成に関する最適解の発見 [同論文;浜田(本研究会2014年12月)] の基礎となったが,本研究の一般化された補題も回転の構成に関する基礎的な事実を含意する.一例として,Davenport (1973) に述べられた定理3が自然な初等的計算で帰結されることを示す.
休憩(15:00 〜 15:15)
セッション3(15:15 〜 16:15) 座長: 多田野 寛人(筑波大学)
- 招待講演(15:15 〜 16:15)
独立成分分析・独立ベクトル分析への補助関数アプローチによる行列最適化
○小野 順貴(国立情報学研究所)概要:独立成分分析や独立ベクトル分析は多チャンネルの観測信号を独立成分に分離する信号処理手法であり,音響,画像,生体信号をはじめ,幅広い応用をもつ.これらは数理的には,非線形な目的関数を最大化,ないしは最小化する分離行列を求める行列の最適化問題であり,従来は自然勾配法,不動点法などが用いられてきた.本講演ではこれに対し,近年著者が導出した,補助関数法という最適化アプローチによる新しい高速解法を紹介し,未解決の問題についても議論したい.
休憩(16:15 〜 16:30)
セッション4(16:30 〜 18:00) 座長: 緒方 隆盛(NEC)
- 講演7(16:30 〜 17:00)
Exponential integrator に現われる行列関数の精度の改善
○中村 真輔(秋田県立大学),小澤一文(秋田県立大学),廣田 千明(秋田県立大学)概要:近年,常微分方程式のための数値解法として,行列関数とベクトルの積を含む exponential integrator と呼ばれる離散変数法のクラスについての研究が盛んである.ここでいう関数とは指数関数を含むφ関数と呼ばれるものを指す.そのため,これらの行列関数の計算法についても様々な手法が提案されているが,特に scaling and squaring method が最も広く用いられている.しかし,scaling and squaring method は丸め誤差が大きくなる場合がある.また,特にスカラの場合では,指数関数の計算において squaring formula の精度の改善手順が知られている.そこで,この改善手順を行列指数関数およびφ関数に拡張する方法について提案する.
- 講演8(17:00 〜 17:30)
巨大次元疎行列の固有値計算
〇中野 博生(兵庫県立大学大学院物質理学研究科)概要:裾野の広い基本問題である行列の固有値計算では,どのくらい大きな次元までの計算が実際に可能だろうか.我々は,固有値計算手法のうち,冪乗法の一つであるランチョス法による大規模疎行列の計算を「京」コンピュータを含む複数の計算機上で行い,磁性研究を推進している.その研究において,MPIとOpenMPのハイブリッド並列化で実現した巨大次元行列の固有値計算を紹介する.
- 講演9(17:30 〜 18:00)
対称行列のトレースに対する確率的推定法の分散について
○山本 有作(電気通信大学)概要:対称行列Aに対するTr(A)の計算は,統計計算や電子状態計算など科学技術計算の様々な分野で必要となる基本的な計算である.Aが逆行列や行列関数の形で与えられる場合,大規模問題ではAの対角要素をすべて求めることは困難であり,確率的手法によりTr(A)を推定することが多い.本発表では,Tr(A)に対するいくつかの確率的推定法を紹介し,それらを分散の面から比較する.
クロージング(18:00 〜 18:05) 幹事: 宮田 考史(福岡工業大学)
- 時間:12:50 〜 13:20
- 場所:セッション会場の隣(東京大学工学部6号館 3階セミナー室C)
- 時間:18:30 〜 20:30
- 場所:セッション会場と同じ(東京大学工学部6号館 3階セミナー室A・D)
- 会費:4,000円
懇親会にご参加頂ける場合は,下記の参加票をお送り下さい.
- 宛先 (E-mail): mepa ‘@’ fit.ac.jp
- 締め切り:2015年12月4日(金)
---------------------------- 件名: 第20回研究会 懇親会参加票 ---------------------------- お名前: ご所属: ----------------------------