日本応用数理学会 2016年度年会 3部会連携OS

日本応用数理学会 2016年度年会 3部会連携OS

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,日本応用数理学会2016年度年会におきましてオーガナイズドセッションを開催致します.本OSは「科学技術計算と数値解析」研究部会,「計算の品質」研究部会と当部会の3部会連携により開催されます.

  • 会期:2016年9月12日 (月) 〜 9月14日 (水)
  • 会場:北九州国際会議場
  • 住所:〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野三丁目8-1
  • 年会全体のWebページ:http://annual2016.jsiam.org

プログラム
9月13日 (火) 会場:2C

セッション1:行列・固有値問題の解法とその応用(1) (09:30 – 10:50) 座長:保國 惠一(筑波大学)

  • 講演1(09:30 – 09:50)
    SVRG 法のグラスマン多様体上への拡張とその行列補完問題への応用
    ○佐藤 寛之(東京理科大学),笠井 裕之(電気通信大学),Bamdev Mishra(Amazon Development Centre India)

    概要:非常に多くの関数の和の最小化問題の解法として確率的勾配降下法がある.本講演では,確率的勾配の分散を減少させた改良手法であるSVRG をリーマン多様体上に拡張し,グラスマン多様体上の低ランク行列補完問題への応用について述べる.
  • 講演2(09:50 – 10:10)
    On Solution of the Nonnegative Matrix Factorizations
    ○Ning Zheng(SOKENDAI (The Graduate University for Advanced Studies)),Ken Hayami(National Institute of Informatics, SOKENDAI (The Graduate University for Advanced Studies))

    概要:A new class of alternative iteration method is proposed for the solution of the nonnegative matrix factorization problem. The proposed method is based on the alternating modulus solutions of the nonnegative constrained least squares problems. We will compare the proposed methods with the gradient based methods.
  • 講演3(10:10 – 10:30)
    射影手法を導入した正定行列束判定の高速化
    ○足立 智(東京大学),中務 佑治(University of Oxford)

    概要:2つの対称行列が線形和により正定値行列にできるとき,それらは正定行列束であるという.本発表では正定行列束判定の既存手法に対し反復回数を削減する初期値を与えるため,射影操作を導入する手法を提案する.この操作により反復回数を半分程度に減らせることを数値実験で示す.
  • 講演4(10:30 – 10:50)
    行列指数関数のためのShift-invert Rational Krylov法
    ○橋本 悠香(慶応義塾大学),野寺 隆(慶応義塾大学)

    概要:大規模行列指数関数に対して,Shift-invert Arnoldi法やRational Krylov法による近似が行われてきた.本講演では,Rational Krylov法に対する新しい考察を与え,それを基に適切なシフトのとり方と近似の仕方を提案する.そして,得られる誤差の上界が1次以上の速さで減少していくことを示す.

セッション2:行列・固有値問題の解法とその応用(2) (11:00 – 12:20) 座長:佐藤 寛之(東京理科大学)

  • 講演5(11:00 – 11:20)
    GKB-GCV法を用いた多変量画像のぼやけ除去
    ○富樫 大(慶應義塾大学),野寺 隆(慶應義塾大学)

    概要:近年、白黒画像のぼやけ除去問題を高速に解くGKB-GCV法を提案した。今回、多変量画像のぼやけ除去問題に対しGKB-GCV法の拡張を提案し、数値実験の結果と今後の課題について述べる。
  • 講演6(11:20 – 11:40)
    クラスタ行列の高精度特異値分解を実現する直交QD法のシフト戦略について
    ○荒木 翔(京都大学),木村 欣司(京都大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:分割統治法では特異値分解ができないほど特異値が密集したクラスタ行列に対し,特異値の摂動に基づくシフト戦略による直交QD法の数値実験の結果を示し,シフト戦略とアルゴリズムの特性との関係について考察する.
  • 講演7(11:40 – 12:00)
    新しいシフト戦略に基づく直交QD法の簡約操作から定式化されるdqds法について
    ○木村 欣司(京都大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:新しいシフト戦略に基づく直交QD法の実装から特異ベクトルの計算機能を取り去ったことによって生成されるdqds法の実装が, クラスタ行列を含めたさまざまなテスト行列に対して, 高い性能を発揮できることを確認する.
  • 講演8(12:00 – 12:20)
    直交QD法を下位ルーチンとして用いるthick-restart Golub-Kahan-Lanczos法の実装と性能評価
    ○石田 遊也(京都大学),木村 欣司(京都大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:著者らによる直交QD法を、部分特異対分解アルゴリズムであるthick-restart Golub-Kahan-Lanczos法の下位ルーチンとして用いた場合の実装と性能評価を報告する。

セッション3:行列・固有値問題の解法とその応用(3) (13:30 – 14:50) 座長:多田野 寛人(筑波大学)

  • 講演9(13:30 – 13:50)
    クリロフ部分空間法による物質科学のためのオープンソース・アプリケーション
    ○山地 洋平(東京大学),三澤 貴宏(東京大学),吉見 一慶(東京大学),河村 光晶(東京大学),藤堂 眞治(東京大学),星 健夫(鳥取大学),曽我部 知広(名古屋大学),川島 直輝(東京大学)

    概要:クリロフ部分空間法の数理と物質科学を繋ぐことを目指して開発を進めている量子多体問題アプリケーションHΦについて紹介し、量子多体問題の中間固有状態をターゲットとした疎行列固有値問題とその応用を示す。
  • 講演10(13:50 – 14:10)
    逆一般化固有値問題に対する擬似ニュートン法
    ○相島 健助(東京大学)

    概要:逆固有値問題とは,指定した固有値とある種の構造をもつ行列を求める問題であり,ニュートン法が代表的な数値解法になる.本発表では,一定の条件下で一般化固有値問題に対する逆問題にも適用可能な疑似ニュートン法を提案する.
  • 講演11(14:10 – 14:30)
    長方行列束の固有値問題に対する周回積分型解法
    ○保國 惠一(筑波大学)

    概要:複素平面上の指定された領域内部における, 長方行列束のすべての固有値および対応する固有ベクトルを求める固有値問題に対する周回積分型解法を提案する. 提案法の定式化を示し, 数値実験で有効性を示す.
  • 講演12(14:30 – 14:50)
    レゾルベントの多項式をフィルタに用いた対称定値一般固有値問題のフィルタ対角化法
    ○村上 弘(首都大学東京)

    概要:フィルタ対角化法で対称定値一般固有値問題を解くために使用するフィルタとして、レゾルベントの多項式を用いる場合について考察を行なう。