第4回単独研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第4回研究会

 

日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会では, 第4回研究会を開催します.

プログラム

オープニング 主査:櫻井鉄也(筑波大学)(9:50)

セッション1 座長:櫻井鉄也(筑波大学)(10:00~12:00)

  • 講演1(10:00~10:30)
    固有値問題とアンダーソン局在化
    村上 弘(首都大学東京)

    概要:低次元系の隣接相互作用を表す行列は,要素の値に乱雑性が伴なうとき大規模 では,各固有ベクトルは狭い範囲の添字を持った要素だけに集中した値を持ち他は無 視できるようになる(アンダーソン局在化).この現象と数値計算法との関係性の考 察を試みる.

  • 講演2(10:30~11:00)
    SPAI法の可能性
    中島 研吾(東京大学)

    概要:有限要素法,差分法などから得られる疎行列を係数とする連立一次方程式の反 復解法の前処理手法として,近似逆行列による前処理は広く使われている。本講演で は,その中でもフロペニウスのノルムを使用する,SPAI法(explicit Sparse Approximate Inverse)の可能性について実例に基づき検討を実施する。

  • 講演3(11:00~11:30)
    教育用小規模サーチエンジンのためのランキング機能の実装と性能評価
    ○幸谷 智紀(静岡理工科大学),竹口 友大((資)わいにじ)

    概要:我々は「Webデザイン」のためのPBLの教材として,リンク構造に基づいたラン キング機能を組み込んだ小規模サーチエンジンを作成中である。今回はべき乗法によ る素朴なランキング計算の結果とその性能を報告する。

  • 講演4(11:30~12:00)
    固有値解法の応用と広がり
    西田 晃(東京大学)

    概要:固有値解法の今後の発展のためには, どのような分野でどのような規模の問題 が解かれているのかを整理しておくことは重要である. 本研究では, 固有値解法の最 近の適用分野について, サーベイを兼ねた報告を行う.

セッション2 座長:直野健(日立製作所)(12:50~14:20)

  • 講演5(12:50~13:20)
    感染症のシミュレーション(隔離の空間的なパターン)
    ○松本 昌昭(株式会社三菱総合研究所),義澤 宣明(株式会社三菱総合研究所),安田 英典(城西大学)

    概要:SIRモデルに代表される感染伝播モデルについて、社会的な隔離力を考慮した モデル化を行い、数値シミュレーションを利用して、その効果についての検討を行 う。具体的には、感染者の隔離地域あるいは非感染者の隔離地域からの移動を,人々 の集団の移流によって記述する。ここでは2相流浅水波方程式によって、隔離のモデ ル化を行う。

  • 講演6(13:20~13:50)
    3D不整形地盤非線形動的解析の並列計算
    ○児玉 剛(伊藤忠テクノソリューションズ),張 衛紅(伊藤忠テクノソリューションズ),金 伝栄(伊藤忠テクノソリューションズ)

    概要:地盤・浸透・耐震統合FEM解析ソフトウェアSoil Plusを紹介。Soil Plusの主 要マトリックスソルバーのパフォーマンスを比較。3D不整形地盤非線形動的解析の 並列計算を事例として、並列動的解析の問題点を整理。

  • 講演7(13:50~14:20)
    自動車の流体解析の現状と数値計算上の技術課題
    堀之内 成明(豊田中央研究所)

    概要:自動車の流体解析,特に空力問題を取り上げ,そこで現れる数値計算上の技術課題と,それに対する試み,ならびに,数値解析の専門家への期待を述べる.

セッション3(14:40~16:10)

  • 産学連携パネルセッション
    コーディネータ:中島研吾(東京大学)
    題目:工学と応用数学の対話

    趣旨:多くの科学技術シミュレーションは,ある領域における支配方程式をなんらかの手法 によって離散化し,線形化して得られる連立一次方程式を解くことに帰着される。安 定で高速な連立一次方程式解法は,様々な研究開発行程の効率化に直結する非常に重 要な項目であり,工学・物理学と応用数学,産学の密接な連携が期待される。「分野 が異なると話す言語が異なる」と言われているが,本パネルでは,「産(科学技術シ ミュレーション)」,「学(行列・固有値分野)」を代表するパネリストによる (議論というよりは)対話,フロアからの意見も交えて,産学連携のあるべき姿に ついて検討する。

    パネリスト:石渡恵美子(東京理科大学),片桐孝洋(東京大学),櫻井鉄也(筑波大学),堀之内成明(豊田中央研究所),松本昌昭(株式会社三菱総合研究所)(五十音順)

セッション4 座長:片桐孝洋(東京大学)(16:30~18:00)

  • 講演8(16:30~17:00)
    特異値計算ルーチンDLASQの収束次数について
    ○相島 健助(東京大学),松尾 宇泰(東京大学),室田 一雄(東京大学),杉原 正顯(東京大学)

    概要:行列の特異値を求めるルーチンとしてLAPACKのDLASQが広く使われている.こ のDLASQは,かなり複雑な反復過程を経て特異値を求めるため,その理論的収束次数 は不明であった.我々は,このDLASQの理論的収束次数を決定したので報告する.

  • 講演9(17:00~17:30)
    Approximate Generalized Inverse Preconditioners for Least Squares Problems
    ○崔 小可(国立情報学研究所),速水 謙(国立情報学研究所)

    概要:In 1973, Benson in his Master thesis first proposed the idea to construct a matrix which is a direct approximation to the inverse of matrix A as a preconditioner to solve the linear system Ax=b, where A is a square nonsingular matrix. To construct the approximate inverse matrix M, one popular idea is to minimizing ||I-MA||, which is equivalent to minimizing ||e_i-m_iA||, i=1, … ,n, where e_i is the ith row or an identity matrix, and m_i is the ith row of matrix M. Saad applied this idea to large scale sparse problem, where the Frobenius norm ||I-MA|| is minimized by using the MR algorithm. In this paper, we try to use Saad’s algorithms to construct preconditioners for least squares problems. Considering this algorithm can be performed parallel, it’s a very attractive option when we solve a large sparse problem or a multiple right hand side problem.

  • 講演10(17:30~18:00)
    Java 4倍精度演算の実装と行列計算への応用
    ○今井 大貴(東京理科大学),石渡 恵美子(東京理科大学),長谷川秀彦(筑波大学)

    概要:Javaには任意精度の多倍長演算クラスライブラリが用意されているが,4倍精 度に限定して適用した場合,倍精度演算の数百~数千倍の演算時間がかかってしま う.これに対し,本研究では,四則演算が30倍未満の時間で計算できる高速な4倍精 度演算を実装し,この4倍精度演算を行列計算へ応用することを試みた.

クロージング 幹事:片桐孝洋(東京大学)(18:00)

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懇親会参加票
根津駅周辺
開始時刻:18:30~
会費:5000円程度
懇親会に参加します。
お名前:
ご所属:
E-mail:
11月8日までに、東京大学情報基盤センターの片桐(katagiriアットマークcc.u-tokyo.ac.jp)
まで、電子メールでお申し込みください。
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