日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第6回研究会
日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会では,第6回研究会を開催します.
- 開催日:2008年11月26日(水)
- 場所:国立情報学研究所22階2208室(〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
- アクセス:http://www.nii.ac.jp/introduce/access1-j.shtml
- 研究会終了後に国立情報学研究所の所内にて懇親会を予定しています.懇親会に参加をご希望の方はこちらをご参照下さい.
- 第1セッション終了後に第1回運営委員会を開催します.研究部会運営委員の皆様はこちらをご参照下さい.
プログラム
オープニング 主査:片桐 孝洋(東京大学)(10:20)
【セッション1:最小二乗問題】 座長:直野 健(日立中央研究所)
- 講演1(10:30~11:00)
最小二乗問題に対するクリロフ部分空間法の収束解析
○速水 謙(国立情報学研究所),Jun-Feng Yin(Tongji University, China)概要: 最小二乗問題に対するCGLS法および(BA-)GMRES法の収束性を理論および数値実験により解析し比較する。特にCGLS法における丸め誤差の影響と係数行列の特異値の分布の関係、再直交化の効果について述べる。
- 講演2(11:00~11:30)
Greville’s Method for Preconditioning Least Squares Problem
○Xiaoke Cui (Sokendai), Ken Hayami (NII), Junfeng Yin (Tongji University, China)概要: In this paper, we construct a preconditioner for least squares problems $min|b-Ax|_2$, where $A$ can be matrices with any shape or rank. The preconditioner itself is a sparse approximation to the Moore-Penrose inverse of the coefficient matrix $A$. For this preconditioner, we provide theoretical analysis to show that under our assumption, the problem preconditioned by this preconditioner is equivalent to the original problem, and the GMRES method can determine a solution to the preconditioned problem before breakdown happens.
【招待講演】 座長:片桐 孝洋(東京大学)
- 招待講演(13:00~13:45)
インタラクティブなUIを備えた統合型設計解析ソフトウェアの開発
梅谷 信行(東京大学大学院、新領域創成科学研究科、久田研究室)概要: 従来別々であった設計と解析を、インタラクティブに統合させたソフトウェアを新たに提案する.メッシュを連続的に変形させることで、リアルタイムに設計変更が解析結果に反映され、設計へのフィードバックを得ることができる.これによって形を変えながら解析結果を見ることができるので最適化設計ができる.また、形状と応力などの物理量の相関が理解できるため直感を養う教育として有効である.
【セッション2:線形方程式】 座長:速水 謙(国立情報学研究所)
- 講演3(13:45~14:15)
大規模な三角Toeplitz線形方程式の高速解法とその応用
安村 修一(法政大学工学部電子情報学科 4年)概要: Tをn×nの三角Toeplitz行列, bをn次元ベクトルとした線形方程式Tx=bを数値的に解くことを考える. ここでは, 単純な行列の分解と高速フーリエ変換を使って行列とベクトルの積を計算することで線形方程式の解と行列Tの逆行列をO(nlogn)で求める再帰的アルゴリズムについて紹介する. また, これをGauss-Seidel法に適用し一般Toeplitz線形方程式を高速に解くことができることを示す.
- 講演4(14:15~14:45)
一般化Bi-CGSTAB(s, L) (= 一般化IDR(s, L))
○谷尾 真明(東京大学),杉原 正顯(東京大学)概要: 連立一次方程式の反復解法において, 近年IDR(s)法が注目されている. IDR(s)法は, 高次のshadow residualを持つBi-CG法に1次の加速多項式を付加した実装によっても, 実現可能なことが分かっていた. 本発表では, 既存研究とは異なる形式により, 高次のshadow residualを持つBi-CGを定義し, L次の加速多項式を付加した実装を可能にした, GBi-CGSTAB(s, L)を紹介する.
- 講演5(14:45~15:15)
線形方程式求解プロセスにおける品質管理からみた前処理方法と収束判定に対する考察
○伊藤 祥司(理化学研究所情報基盤センター), 杉原 正顯(東京大学大学院情報理工学系研究科)概要: 本講演では,線形方程式求解アルゴリズムの体系的性能評価や特性分析のための評価指標作成に向けて,品質管理の発想を採り入れた.そのような分析・評価をとおして見出された事例として,クリロフ部分空間法の前処理方式の違いによる問題点と,各々の前処理方式における収束判定について議論する.
- 講演6(15:15~15:45)
超弾性体解析で現れる剛性行列の性質とその解法に関して
○鷲尾 巧(東京大学), 久田 俊明(東京大学)概要: 最初に, 生体組織やゴムの連続体モデルとして用いられる超弾性体モデルの有限要素解析において現れる剛性行列の特徴に関して考察する. これらの連続体は, 伸長に対しては非常に柔軟である一方, 体積変化に対しては大きな剛性を有することを特徴とする. 次に, その線形方程式の反復解法と収束性について議論する.
【セッション3:固有値・特異値問題】 座長:片桐 孝洋(東京大学)
- 講演7(16:00~16:30)
Kato-Templeの不等式と一般化Newton下界によるシフト戦略
○木村 欣司(京都大学大学院情報学研究科),山下 巧(京都大学大学院情報学研究科,JST),高田 雅美(奈良女子大学大学院人間文化研究科),中村 佳正(京都大学大学院情報学研究科,JST)概要: 乱数によって生成された2重対角行列について一般化Newton下界によるシフト戦略を用いたmdLVs法による特異値計算は、Johnsonシフトに対して十分にその優位性を主張できるが、特殊な2重対角行列、ここでは、対角成分がすべて等しく(=a) また、非対角成分もすべて等い(=b)のような行列では、主張できない。そこで、一般化Newton下界で得られる値を使ったKato-Templeの不等式による新しい下界を付加的に加えることで、特殊な2重対角行列についても、Johnsonシフトに対して優位性が主張できるようになることを報告する。
- 講演8(16:30~17:00)
シフト付きコレスキーLR法における2つの固有値近似法の収束性について
○相島 健助(東京大学,D1),松尾 宇泰(東京大学),室田 一雄(東京大学),杉原 正顯(東京大学)概要: 3重対角行列に対するコレスキーLR法は,特異値計算のための dqds 法と数学的に等価である.dqds法において,通常,(対角+シフト)で特異値の平方を近似するが,多くの場合,実はシフトのみでも近似値を与える.最近我々はこの2つの近似法に関し,シフトは単調増加,(対角+シフト)は単調減少で,漸近的には後者の方が特異値の平方をよく近似することを示した.本講演では,この結果が一般の正定値行列に対するコレスキーLR法に拡張できることを示す.
- 講演9(17:00~17:30)
AllReduce アルゴリズムによる QR 分解の精度について
○山本有作,森大介,張紹良(名古屋大学)概要: ハウスホルダーQR分解を効率的に並列化するための手法として,最近,AllReduce アルゴリズムが提案され,注目を集めている。本発表では,AllReduce アルゴリズムの精度について,残差と直交性を指標として評価を行う。また,従来のハウスホルダーQR分解の誤差解析の結果に基づき,精度についての理論的考察を行う。
- 講演10(17:30~18:00)
磁気流体力学方程式の固有値問題における「切りつなぎ法」
○徳田 伸二,白石 淳也(日本原子力研究開発機構),影井 康弘(高度情報科学技術研究機構)概要: 磁場閉じ込めプラズマの運動を記述する磁気流体力学方程式の固有値問題の固有値はプラズマの慣性効果を表している。プラズマの慣性効果は「共鳴面」の周りの近傍(内部層と呼ぶ)でのみ働き、その外側(外部領域と呼ぶ)では慣性(固有値)を無視する近似が成立する。そこで、我々は接続点を設けて、外部領域では慣性のない方程式を、内部層では運動方程式を解いて、両者の解を接続して、もとの固有値問題を接続点における値に関する小規模の行列に関する固有値問題に帰着させる方法を考案した。
クロージング 幹事:速水 謙(国立情報学研究所)(18:00)
- 日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会 第1回幹事会(11:30~12:15)
場所:セミナー室2(15階1509室) - 日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会 第1回運営委員会(12:20~12:50)
場所:セミナー室2(15階1509室)
国立情報学研究所(3階喫茶室) 開始時刻:18:10~ 会費:4000円程度 懇親会に参加します。 お名前: ご所属: E-mail: 2008年11月18日(火)までに、この参加表を電子メールでお申し込みください。 送付先のEメールアドレス: mepa2008アットマークna.cse.nagoya-u.ac.jp