日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第24回研究会
日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第24回研究会を開催致します.
- 開催日:2017年11月24日(金)
- 会場 : 東京大学工学部6号館セミナー室A・D
- 住所 : 〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
本研究会は,JSIAM Letters の投稿条件を満たす研究会です.
【懇親会】
研究会終了後,懇親会を開催致します.懇親会の参加申し込みは こちら をご覧下さい.
【運営委員会】
「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会の運営委員会を開催致します.
- 時間:12:50 – 13:20
- 会場:東京大学工学部6号館セミナー室B
プログラム
セッション1 11:00 – 12:00 座長:今倉 暁(筑波大学)
- 講演1(11:00 – 11:30)
多重極係数のテンソル分解に基づく脳磁場逆問題解法
○椛島 健太(東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻),呉 天雄(東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻),奈良 高明(東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻)概要:神経に流れた電流により発生する磁場を頭の外側で計測した結果から、電流源を双極子として推定する逆問題を考える。各時刻において磁場の多重極係数から双極子を推定する既存手法では双極子モーメントが小さい時刻の推定に失敗しやすい。本発表では多重極係数を時系列で並べたテンソルにCP分解を適用することで、双極子モーメントが小さい時刻も含めて双極子位置を精度良く推定できる手法を提案する。 - 講演2(11:30 – 12:00)
信号到来方向推定アルゴリズムESPRITの数理構造を用いる動的モード分解
○相島健助(東京大学)概要:信号処理や流体・時系列データの解析において,系の背後にある直接観測できない行列を推定する技術の需要は多く,この種の行列の推定において固有値は重要な役割を果たす.本発表では,信号の到来方向推定として有力なESPRIT法の数理構造について簡単に説明し,これを固有値に関連づけて拡張することで近年流体・時系列データ解析で注目されている動的モード分解(DMD)を推定精度の面で改善できることを示す.
昼休み 12:00 – 13:30
セッション2 13:30 – 15:00 座長:相原 研輔(東京都市大学)
- 講演3(13:30 – 14:00)
多項式前処理による複数右辺ベクトルを持つシフト線形方程式の求解
○関川 悠太(筑波大学),二村 保徳(筑波大学),今倉 暁(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学)概要:格子量子色力学計算や大規模電子構造計算、また周回積分型固有値解法の部分問題などでは、複数右辺ベクトルを持つシフト線形方程式が現れ、この求解がボトルネックとなり、高速な解法が必要である。複数右辺ベクトルを持つシフト線形方程式の解法の一つにShifted Block Krylov部分空間反復法がある。これらの解法はBlock Krylov部分空間のシフト不変性を用いることで効率的に線形方程式を求解する事ができる。本研究ではShifted Block Krylov部分空間反復法の前処理として、多項式前処理を適用し、その性能評価をする。 - 講演4(14:00 – 14:30)
虚数シフトを行った実対称行列のためのCOCG法と一般化MINRES法の性能比較
○清藤 博暉(電気通信大学),山本 有作(電気通信大学)概要:虚数シフトを行った実対称行列を係数とする連立1次方程式(A+sI)x=bは,量子力学における波束シミュレーションなど,様々な分野で現れる。この方程式では,係数行列が複素対称となるためCOCG法が利用できるが,一方,クリロフ部分空間のシフト不変性を利用することで,MINRES法の拡張版も利用できる。本発表では,両手法を波束シミュレーションから生じる実際の行列に適用し,性能を比較する。 - 講演5(14:30 – 15:00)
Stabilized GMRES method using the normal equation approach for highly ill-conditioned problems
○Zeyu LIAO (National Institute of Informatics and SOKENDAI) Ken HAYAMI (National Institute of Informatics and SOKENDAI)Abstract:Consider using GMRES to solve highly ill-conditioned problems, in which case the condition number of the Hessenburg matrix tends to be very large. It is known that in this case, convergence of GMRES deteriorates. We propose a stabilized GMRES method based on solving the normal equation of the upper-triangular system obtained from the Hessenberg matrix, to overcome the difficulties. In a finite accuracy machine (float point system), using normal equation and with the help of Cholesky decomposition, we succeed to get rid of tiny singular values which lead to an inaccurate solution. Numerical experiments show that the proposed method is efficient for solving highly ill-conditioned problems.
セッション3 15:15 – 16:15 座長:保國 惠一(筑波大学)
- 講演6(15:15 – 15:45)
一般内積における直交化のためのMGS-HP(s)法
○今倉暁(筑波大学),山本有作(電気通信大学)概要:本講演では,正定値対称行列 A により定められる一般内積に対し,グラムシュミット直交化によるm x nの長方行列のthin QR分解について考える.従来行列 A に関して 2n 回の行列ベクトル積が必要であったのに対して,近年,我々は n 回の行列ベクトル積で実装可能な効率的実装法として,高精度型の解法(MGS-HA法)および高演算効率型の解法(MGS-HP法)を提案した.本講演では,両解法の拡張としてMGS-HP(s)法を提案し数値実験からその有効性を検証する. - 講演7(15:45 – 16:15)
Scaling and squaring のためのパラメータの算出法
○中村真輔(秋田県立大学)概要:常微分方程式に対する離散変数法の一種として exponential integrator があり,その中で行列φ関数が必要となる.その計算法として scaling and squaring が知られているが,scaling の基準値として用いられるパラメータについては算出手順に理論的な裏付けがない.そこで算出手順に修正を加え,得られたパラメータの性能を数値実験によって検証する.
セッション4 16:30 – 17:30 座長:多田野 寛人(筑波大学)
- 講演8(16:30 – 17:00)
シフト付きコレスキーQR分解を利用した逆反復法の高速化
○大澤 真之(京都大学大学院),木村 欣司(京都大学大学院),中村 佳正(京都大学大学院)概要:実対称3重対角行列の固有対計算手法として,2分法と逆反復法を組み合わせる手法がある.2分法の並列化は容易であるが,逆反復法においては再直交化処理が要求され,高い並列化効率を達成することは容易でない.この再直交化処理において,従来は再帰的CGS法を利用してきたが,より高い並列化効率を達成するため,新たなシフト戦略に基づくシフト付きコレスキーQR分解を提案し,これを採用した.講演では,新たなシフト戦略の中身と性能評価の結果について報告する. - 講演9(17:00 – 17:30)
少数のレゾルベントで構成されたフィルタによる実対称定値一般固有値問題の解法とその実験
○村上弘(首都大学東京)概要:実対称定値一般固有値問題Av=λBvに対応するレゾルベントの作用は、シフトがρの行列C=AーρBを係数とする連立一次方程式の解法に帰着されるが、AとBの帯幅が狭ければCも同様で行列の分解を用いて解くことができる。少数のレゾルベントの線形結合の実部の作用の多項式をうまく構成して、固有値が指定区間近傍の固有ベクトルだけを良く通過するフィルタとする。それを用いて不変部分空間の近似空間の基底が構成できる。
【懇親会】
- 時間:研究会終了後(18:00頃を予定)
- 場所:東京大学周辺
懇親会に参加を希望される方は,下記のフォームからお申し込み下さい.(締め切りました)