日本応用数理学会 2008年研究部会連合発表会

日本応用数理学会 2008年研究部会連合発表会

 

  • 日時:2008年3月8日(土)~9日(日)
  • 場所:首都大学東京 南大沢キャンパス 12号館(〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1)
  • 連合発表会全体のWebページ:http://tnt.math.metro-u.ac.jp/jsiam-jm2008/

プログラム(研究部会関係部分)
  • 講演1(9:00~9:15)
    ATに対するRichardson反復を利用したKrylov部分空間法の設計
    ○鬼束崇博 (九州大学 B4),藤野清次 (九州大学),阿部邦美 (岐阜聖徳学園大学)

    概要: 転置行列ATに対するRichardson反復を利用して設計した 新しいKrylov部分空間法の概要および性能評価結果を報告する.

  • 講演2(9:15~9:30)
    複数の前処理導出が可能なGPBiCG_AR法の収束性評価
    ○Moethuthu (九州大学 D2),藤野清次 (九州大学),尾上勇介 (九州大学 M1)

    概要: GPBiCG法の持つ収束不安定を改善したGPBiCG_AR法を すでに我々は提案した.今回の発表では,GPBiCG法の前処理が 両側前処理だけが導出可能であったのに対して,提案した GPBiCG_AR法が,右,両側,左前処理が可能なことを明らかに する.数値実験で真の相対残差を比較し,両反復法の比較を行う.

  • 講演3(9:30~9:45)
    行列式に着目した固有値密集化前処理について
    ○染原一仁 (九州大学 M2),藤野清次 (九州大学)

    概要: 実対称正定値行列に対して,固有値の相加・相乗平均を利用し, 行列式を1に近づけることにより,固有値を密集させる反復法の 前処理技法を提案する.数値実験において,その技法による行列の 固有値分布の変化の様子を調べ,その有用性を実証する.

  • 講演4(9:45~10:00)
    Cutoffを2重に用いた前処理の性能評価
    ○山崎育朗(筑波大学 B4),岡田真幸(筑波大学 D2),櫻井鉄也(筑波大学),寺西慶太(Cray, Inc.)

    概要: ナノシミュレーションで現れる行列に適した方法として,近似係数行列に 対する直接解法を用いた前処理が提案されている.この前処理によって 作成された前処理行列をさらにCutoffしたときの影響と有効性を検証した.

  • 講演5(10:00~10:15)
    高速な Java 4倍精度(DD)演算の有効性の評価
    ○今井 大貴 (東京理科大学 M2),石渡 恵美子 (東京理科大学),長谷川 秀彦 (筑波大学)

    概要: Javaを用いて倍精度演算に基づく4倍精度(DD)演算を実装し, 古典的グラムシュミット(CGS),修正グラムシュミット(MGS),ハウスホルダー(HQR)によるQR分解を行った. その結果,DDとMGSの両方を用いてはじめて十分な精度が得られる問題があり,DDの必要性が明らかになった.

  • 招待講演(10:15~10:45)
    On Preconditioned Iterative Methods for Burgers Equations
    Zhong-Zhi Bai (Chinese Academy of Sciences)

    Abstract: We study the Newton method and a fixed-point method for solving thesystem of nonlinear equations arising from the Sinc-Galerkin discretization ofthe Burgers equations. In each step of the Newton method orthe fixed-point method, a structured sub-system of linear equations is obtained and needs to be solved numerically. In this paper, preconditioning techniques are applied to solve such linear sub-systems. Tight bounds for eigenvalues of the preconditionedmatrices are derived under certain assumptions. Numerical examples are given to illustrate the effectiveness of the proposed methods.We also find that a combination of the Newton/fixed-point iteration withthe preconditioned GMRES method is quite efficient for theSinc-Galerkin discretization of the Burgers equations.

  • 講演6(10:45~11:00)
    電子状態計算に於ける適応的前処理
    澤村 明賢 (住友電気工業)

    概要: 現実的な電子状態計算は電子間ポテンシャルに関する非線型問題でもある。この 部分に対しても既に前処理方法はあるが、経験的パラメタが必要であった。今回 自動決定を行う適応的前処理方法を工夫し、その効果を確認した。

  • 講演7(11:00~11:15)
    非対称行列固有値問題のフィルタ対角化法について
    村上 弘 (首都大学東京)

    概要: 非対称行列の固有値問題への、レゾルベントの線形結合型フィルタによる フィルタ対角化法の特性解析と適用例を示す。

  • 講演8(11:15~11:30)
    固有値分解を目的としたツイスト分解法による分割統治法の改善
    坪井 洋明 (京都大学 M2),○誉田 太朗 (京都大学 D2),岩崎 雅史 (京都府立大学),木村 欣司 (新潟大学),高田 雅美 (奈良女子大学),中村 佳正 (京都大学)

    概要: 対称3重対角行列の固有値分解を計算する分割統治法はO(n2)の 計算領域と,行列の依存してO(n2)~O(n3)の演算量を必要と する.本研究では,固有ベクトル計算にツイスト分解を用いる ことで,分割統治法の計算領域をO(n)に削減し,同時に,行列に よらずO(n2)で高速に固有値分解を実行するアルゴリズムを提案 する.さらに,このアルゴリズムの並列化についても述べる.

  • 講演9(11:30~11:45)
    対称三重対角行列の固有値計算のための完全パイプライン化シフトQR法の収束性
    宮田 考史 (名古屋大学 D1),岩崎 雅史 (京都府立大学),○山本 有作 (名古屋大学),張 紹良 (名古屋大学)

    概要: 我々は対称三重対角行列のための並列性の高い固有値計算アルゴリズム として,完全パイプライン化シフトQR法を提案している。本発表では, シフトが2個の場合に対し,本手法の漸近的収束性を解析する。

  • 講演10(11:45~12:00)
    非線形方程式の解法による行列の特異値分解アルゴリズム
    ○杉本 昌平 (同志社大学 M2),近藤 弘一 (同志社大学),岩崎 雅史 (京都府立大学)

    概要: 行列の特異値分解を非線形方程式に書き換え,ニュートン法によりこれを解く. ニュートン法を変形し,右および左特異ベクトルを同時に更新するレイリー商 反復型のアルゴリズムを導出する.各種条件による違いを実験により検証する.