日本応用数理学会 2010年研究部会連合発表会

日本応用数理学会 2010年研究部会連合発表会

 

  • 日時:平成22年3月8日(月)~3月9日(火)
  • 場所:筑波大学 筑波キャンパス 計算科学研究センター,総合研究棟B
  • 参加費:学生会員: 0円/一般会員: 1,000円/学生非会員: 0円/一般非会員: 2, 000円
  • 連合発表会全体のWebページ:http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~sakurai/jsiam/spring-meeting2010.html

プログラム(研究部会関連部分)
3月8日 (月)

セッション1(9:00-10:20)

  • 講演1(9:00-9:20)
    階層的並列計算環境における電子状態計算の高性能並列固有値解法
    ○二村保徳(筑波大学M1),多田野寛人(筑波大学),櫻井鉄也(筑波大学), 岩田潤一(筑波大学)

    概要:本講演ではGPUクラスタのような階層的並列計算環境で高いスケーラ ビリティを発揮する固有値解法である櫻井・杉浦法の第一原理電子状態計算 への応用方法を提案し,これを適用した数値例を示す.

  • 講演2(9:20-9:40)
    λ行列固有値問題への櫻井・杉浦法の応用
    ○池上 努(産総研),櫻井 鉄也(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学),朝倉 順子(スクウェア・エニックス)

    概要:次数 n の M 次元λ行列の固有値問題は,nM 次元のコンパニオン 行列の一般化固有値問題に変換される.櫻井・杉浦法を用いると, コンパニオン行列の固有値問題を M 次元規模の問題として解けることを示す.

  • 講演3(9:40-10:00)
    Davidson法を用いた活性化状態探索の高速化
    ○澤村明賢(住友電気工業(株))

    概要:拡散や反応の活性化状態の探索は,ポテンシャルエネルギーが 最も緩やかに変化する最低次の固有ベクトルの発見から始まる. 今回Davidson法により,活性化状態の探索を全体として高速に行う方法を開発したので報告する.

  • 講演4(10:00-10:20)
    非対称3重対角行列の固有値に対する考察
    ○福田亜希子(東京理科大学D1)

    概要:離散可積分系に基づき,帯行列に対する複素固有値計算のための dhLVアルゴリズムが提案されている. 本講演では,dhLVアルゴリズムを非対称3重対角行列に適用し, 全ての固有値が高精度に計算できることを数値実験により示す.

セッション2(10:40-12:00)

  • Invited Talk 1(10:40-11:20)
    On Accelerated Arnoldi Method for the Computation of PageRank
    Dr. JunFeng Yin (Tongji University, China)

    Abstract: A new Arnoldi iteration method based on general inner product is presented for computing the PageRank problem. From practical point of view, we proposed an accelerated Arnoldi method with an adaptive inner product introducing by the residual computed in the last loop. Numerical experiments show that the accelerated Arnoldi method is efficient and faster than Power method and Arnoldi-type method [Golub, Greif, BIT, 2006] when the dampling factor is relatively large.

  • Invited Talk 2(11:20-12:00)
    A new method for handling the solvability condition associated with incompressible flow in complex geometries
    Dr. Mark Sussman (Florida State University, USA)

    Abstract: The pressure equation (projection equation) can have either infinitely many solutions or no solutions. In this presentation, an efficient algorithm for handling the solvability condition is described and examples are presented; one example is the simulation of a beating heart on a dynamic hierarchical adaptive grid structure. The algorithm that is proposed is applicable on parallel computing platforms.

セッション3(13:30-14:50)

  • 講演5(13:30-13:50)
    IDR定理に基づくSOR法の最適緩和係数omegaの次善値決定の戦略
    ○尾上勇介(九州大学D1) 藤野清次(九州大学)

    概要:新しく提案されたIDR(s)法ベースのSOR法の緩和係数omegaの 最適値と相関が非常に強い次善値決定の評価モデル式を考案 できたので,その結果を紹介し妥当性について論じる.

  • 講演6(13:50-14:10)
    非対称行列用GS(Gauss-Seidel)型前処理の提案
    ○尾上勇介(九州大学D1) 杉原正顯(東京大学) 藤野清次(九州大学)

    概要: 従来よく使われている行列分解型の前処理と 行列分離型の前処理とが融合した新しい前処理を紹介する. 反復行列の因子にはGauss-Seidel法のときのものを採用する. この前処理は非対称行列向きの反復解法に適用できるという 特長を持つ.発表では,その理論と数値実験結果を報告する.

  • 講演7(14:10-14:30)
    GS(Gauss-Seidel)型前処理つきGMRES(k)法の収束性評価
    尾上勇介(九州大学D1) 日下部雄三(九州大学M2) ○藤野清次(九州大学)

    概要:Gauss-Seidel法の分離行列を前処理行列として用いる GS型前処理を提案する. また, その前処理を GMRES(k)法に適用し数値実験によりその有用性を示す.

  • 講演8(14:30-14:50)
    GS(Gauss-Seidel)型前処理によるIDR(s)ベースのBiCGSTAB(L)法の収束加速
    尾上勇介(九州大学D1) 森田健治(九州大学B4) ○藤野清次(九州大学)

    概要:昨年,Sleijpenや谷尾,杉原らによって提案された高(=L)次多項式を 使うIDR(s)ベースの複数のBiCGSTAB(L)法に対して,GS(Gauss-Seidel)型 前処理を適用したときの収束の加速について論じる.

セッション4(15:30-16:50)

  • 講演9(15:30-15:50)
    非対称線形方程式のためのLook-Back GMRES(m)法  ―誤差方程式に基づくGMRES(m)法の拡張―
    ○今倉暁(名古屋大学D2),曽我部知広(愛知県立大学),張紹良(名古屋大学)

    概要:近年, 我々はGMRES(m)法に対する誤差方程式に基づく新しい リスタート法の枠組みを提案した [今倉暁, 曽我部知広, 張紹良, GMRES(m)法のリスタートについて, JSIAM, 19(2009)]. 本発表では提案された枠組みに基づき, Look-Back GMRES(m)法を提案する.

  • 講演10(15:50-16:10)
    Kantorovichの定理による超平面制約特異値分解法の半局所収束性 とその応用
    ○矢谷健一(京都大学M2),近藤弘一(同志社大学),岩崎雅史(京都府立大学)

    概要:超平面制約法と名付けられた,ニュートン法に似た反復を利用した 特異値分解法が提案されている.本講演では,ニュートン法の収束定理である カントロビッチの定理を再考することで得られた超平面制約法に関する新しい 結果を紹介する.

  • 講演11(16:10-16:30)
    m系列ヘルダーの不等式から生成される最小特異値の下界公式について
    ○木村欣司(京都大学),五島大裕(京都大学B4),矢谷健一(京都大学M2),高田雅美(奈良女子大学),山下巧(京都大学D3),中村佳正(京都大学)

    概要:m系列ヘルダーの不等式から,今まで知られているtraceを使う 最小特異値の下界公式をすべて導出し,さらに, traceを使う新しい下界公式を導出する.

  • 講演12(16:30-16:50)
    密正方行列特異値分解のための適切なアルゴリズム・パラメータの 自動推定
    ○豊川博己(京都大学M2),山本有作(神戸大学),木村欣司(京都大学), 高田雅美(奈良女子大学), 中村佳正(京都大学)

    概要:並列I-SVD法を密正方行列に適用するためには,前処理・後処理が 必要となる.この前処理・後処理を,高速に行うアルゴリズムやパラメータを 自動的に推定し,異なる計算機環境でも高速な特異値分解を実現する.

3月9日 (火)

セッション5(9:00-10:20)

  • 講演13(9:00-9:20)
    非直交同時対角化問題の数値解法の改良
    ○廣田悠輔(名古屋大学M2),山本有作(神戸大学),張紹良(名古屋大学)

    概要:複数の行列を非直交行列による合同変換で同時対角化する問題は, 独立成分分析など多くの応用を持つ.本発表では,この問題に対する 複数の数値解法の概観するとともに,それらを組み合わせることで, 収束性を改善できることを示す.

  • 講演14(9:20-9:40)
    誤差制御付き同時ブロック対角化手法の独立成分分析への応用
    ○前原貴憲(東京大学D1),室田一雄(東京大学)

    概要:近年我々は与えられた複数の正方行列に対し,それらを最も細かく 同時ブロック対角化する直交行列を求める手法を提案した. 本発表ではこの手法を独立成分分析に応用し,その実験結果を紹介する.

  • 講演15(9:40-10:00)
    対称三重対角行列に対する Wilkinson シフト付 QR 法の収束速度の 完全解析
    ○相島健助(東京大学D2),松尾 宇泰(東京大学),室田 一雄(東京大学), 杉原 正顯(東京大学)

    概要:対称三重対角行列に対する Wilkinson シフト付 QR 法の収束速度は 少なくとも2 次であり,ほとんどすべての行列で 3 次になることが知られ ている.本発表では,先行研究で明示されているよりも広いクラスの行列で 3 次収束が達成されることを指摘し,2 次となる行列,3 次となる行列を 完全な形で分類する.

  • 講演16(10:20-10:40)
    実対称固有値問題の解法に用いるフィルタの設計
    ○村上弘(首都大学東京)

    概要:実対称な固有値問題で固有値が指定範囲内に在る固有対の近似を 求めるために,レゾルベントの線形結合型のフィルタを用いて不変部分空間 の近似を構成する.フィルタの選択特性が適切となるようにフィルタと そのパラメタを設計する.