日本応用数理学会 2011年研究部会連合発表会

日本応用数理学会 2011年研究部会連合発表会

 

  • 日時:平成23年3月7日(月)~3月8日(火)
  • 場所:電気通信大学 (〒812-8585 調布市調布ヶ丘 1-5-1)
  • 西キャンパス(西4号館、西9号館)
  • 参加費:学生会員: 0円/一般会員: 1,000円/学生非会員: 0円/一般非会員: 2, 000円
  • 連合発表会全体のWebページ:http://scna.im.uec.ac.jp/jsiam/

プログラム(研究部会関連部分のみ)
3月7日 (月)

セッション1(10:00-11:00)

  • 講演1(10:00-10:20)
    「劣決定最小二乗問題に対するGMRES法の内部反復前処理」
    ○保國 惠一(総合研究大学院大学D1),速水 謙(国立情報学研究所)

    概要:劣決定最小二乗問題に対してGMRES法の内部反復前処理を提案する. GMRES法により悪条件でinconsistentな系を解く際に生じる収束悪化を指摘し, 本手法の有効性を数値実験により示す.

  • 講演2(10:20-10:40)
    スムージングを用いたIDRstab法の収束性について
    ○相原 研輔(東京理科大学M2),阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学), 石渡恵美子(東京理科大学)

    概要:線形方程式に対するIDRstab法では,残差ノルムは振動し,また漸化式から 求まる残差ノルムと真の残差ノルムの収束性が異なる場合がある.本発表では, これらの問題を改善するため,IDRstab法にスムージングを適用し,数値実験に よりその有効性を検証する.

  • 講演3(10:40-11:00)
    Alternative implementations of the hybrid Bi-CG methods for linear equations
    ○阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学),Gerard L. G. Sleijpen(Utrecht University)

    概要:Sleijpen らは IDR(s) 法と BiCGSTAB法との関連性を示す際に IDR法に 近いアプローチの Bi-CG 法を用いる.その Bi-CG 法から導出される CGS法,BiCGSTAB法,GPBiCG法を新たに提案する.そして,従来の方法との 収束性を数値実験によって比較する.

休憩(11:00-11:15)

セッション2(11:15-12:15)

  • 講演4(11:15-11:35)
    Restarted Full Orthogonalization Method with Deflation Technique for Shifted Linear Systems
    ○Jun-Feng Yin(Tongji University, China), Guo-Jian Yin(Tongji University, China)

    概要:We consider shifted restated full orthogonalization method with deflation for simultaneously solving a number of shifted systems of linear equations. Theoretical analysis shows that, if the residuals of all shifted systems of linear equations are collinear with each other, the new residuals are still collinear after applying the deflation technique. Hence, our approach can solve the shifted systems simultaneously based on the same Krylov subspace. Numerical experiments show that the deflation technique can improve the convergence performance of shifted restarted FOM.

  • 講演5(11:35-11:55)
    櫻井・杉浦法とshifted Krylov部分空間反復法による省メモリ固有値計算
    ○二村 保徳(筑波大学M2),櫻井 鉄也(筑波大学)

    概要:櫻井・杉浦法を標準固有値問題に適用する場合,複数のシフト線形方程式が現れる.本公演では固有値のみが必要な場合にshifted Krylov部分空間反復法の漸化式を工夫することで必要なメモリを大幅に削減する手法について述べる.

  • 講演6(11:55-12:15)
    Block BiCGSTAB法の安定化について
    ○多田野 寛人(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学)

    概要:複数本の右辺ベクトルをもつ連立一次方程式の解法として,Block BiCGSTAB法が提案されている.本講演では,Block BiCGSTAB法の収束性の安定化,及び近似解の精度向上法について述べる.

昼休み(12:15-13:30)

セッション3(13:30-14:30)

  • 講演7(13:30-13:50)
    周回積分を用いた固有値解法の耐障害性について
    ○白砂 渓(筑波大学M1),櫻井 鉄也(筑波大学)

    概要:周回積分を用いた固有値解法では分点ごとの線形方程式の求解が計算の大部分を占める.この計算において一部の解の精度が失われるような状況を想定し,解法のもつ耐障害性を解析する.

  • 講演8(13:50-14:10)
    量子ドットの電子状態計算への周回積分を用いた固有値解法の適用
    ○山本 和磨(筑波大学B4),櫻井 鉄也(筑波大学)

    概要:量子ドットの電子状態計算で現れる多項式固有値問題に周回積分を用いた固有値解法を適用し,適切なパラメータ・線形方程式の解法の組み合わせを計算量・解の精度から決定し,それを用いて従来解法との比較,検証を行った.

  • 講演9(14:10-14:30)
    「対称固有値問題のJacobi法とマルチコア計算機による実験」
    ○村上弘(首都大学東京)

    概要:マルチコアCPUや小規模なSMPシステム上に於いて,実対称固有値問題の(巡回)Jacobi法の計算実験を行う。(ブロックJacobi法,並列Jacobi法,消去順序,回転角の選択)

休憩(14:30-14:45)

セッション4(14:45-15:45)

  • 講演10(14:45-15:05)
    特異値計算におけるヘルダー不等式に基づく新しいシフト戦略とその評価
    ○鯵坂 明(京都大学M2),山下 巧(京都大学D4),木村 欣司(京都大学)

    概要:ヘルダー不等式から導きだされる実対称行列の最小固有値に対する下界を,特異値計算アルゴリズムのシフトに用いることで,計算の実行時間が減少することを示す.

  • 講演11(15:05-15:25)
    dLV変換の数値安定性について
    ○永田 宗寛(京都大学M1),岩崎 雅史(京都府立大学)

    概要:mdLVsアルゴリズムに用いられている離散ロトカボルテラ系の時間発展を浮動小数点数演算で計算する際に生じる誤差を見積もり,dqdアルゴリズムとの違いを述べる.

  • 講演12(15:25-15:45)
    特異値を求めるdqds法のアグレッシブデフレーションの導入による高速化
    中務 佑治(University of California, Davis, USA, D3),○相島 健助(東京大学D3),山崎 市太郎(LBNL)

    概要:特異値計算アルゴリズム dqds 法にアグレッシブデフレーションを導入し高速化する.この際 dqds 法の漸化式に着目してルートフリーの高速かつ安定なアグレッシブデフレーションの実装法を提案し,その有効性を示す数値実験結果を報告する.

休憩(15:45-16:00)

セッション5(16:00-17:20)

  • 講演13(16:00-16:20)
    前処理の概念の拡大:第二変分型予測子による第一原理電子状態計算の高速化
    ○澤村 明賢(住友電気工業(株))

    概要:前処理とは、目的とする方程式を反復的に解く際、簡単に解ける方程式を参考として、本来の解をより良く予測する手段であり、線形・非線形は問わないはずである。今回この考え方を第一原理電子状態計算に適用し、高速化を達成したので報告する。

  • 講演14(16:20-16:40)
    Compact WY 表現に基づく並列向けベクトル逐次添加型直交化手法とその応用
    ○廣田悠輔(神戸大学D1),山本有作(神戸大学)

    概要:逐次的に与えられるベクトルに対して直交化を行う処理は、Arnoldi 法など多くの線形計算で必要となる。本発表では、この処理に対してハウスホルダー変換に基づくアルゴリズムを並列計算機上で実装し、実際の線形計算における性能を評価する。

  • 講演15(16:40-17:00)
    逆反復法における直交化へのCompact WY表現を用いたハウスホルダー法の適用とその評価
    ○石上裕之(京都大学B4),木村欣司(京都大学),中村佳正(京都大学)

    概要:最近,Compact WY表現を用いることで,ベクトル遂次添加型の直交化のためのハウスホルダー法をBLAS Level-2で書き換えられることが示された.本講演では,これを逆反復法の直交化ルーチンに適用する.多数の隣接固有値をもつ数千次元のテスト行列に対し,32コアCPUの計算機環境における実行時間を既存の方法の約1/6に短縮できたことを報告する.

  • 講演16(17:00-17:20)
    ブロックシューア標準形のジョルダン基底計算アルゴリズムの提案
    ○松本 拓也(埼玉大学M1),工藤 健司(埼玉大学M2),桑島 豊(埼玉大学),重原 孝臣(埼玉大学)

    概要:工藤らによるジョルダン基底計算アルゴリズム(JSIAM Letters, Vol.2, pp.119-122, 2010)を応用し, ブロックシューア標準形のジョルダン基底を, 非ユニタリー変換を用いずに, 効率よく計算するためのアルゴリズムの提案を行う.