第33回単独研究会(SWoPP2022)

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第33回研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第33回研究会を開催致します.本研究会は「2022年並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ (SWoPP2022)」において,電子情報通信学会,情報処理学会の6研究会,およびxSIGとの連携により開催されます.

  • 開催日: 2022年7月28日(木) 13:30~18:30
  • 会場: 海峡メッセ下関およびオンラインのハイブリッド開催を予定
  • SWoPP2022のWebページ:https://sites.google.com/site/swoppweb/swopp2022
  • 本研究会の発表に対してJSIAM Letters の投稿権が付与されます.
  • 1件当たりの発表時間は30分(質疑応答込み)です.
  • 注意:新型コロナウイルスの蔓延状況により,完全オンライン開催となる可能性があります.詳細は,上記のSWoPP2022のWebページの情報をご参照ください.
  • 問い合わせ先:fukaya ‘@’ iic.hokudai.ac.jp (担当:北海道大学 深谷猛)

発表申込

  • 発表申込期間:2022年5月9日(月)~5月13日(金)23:59 発表申込は終了しました。
  • 発表申込みの際は,講演題目,著者(所属),登壇者(所属),連絡先メールアドレス,講演概要(200字程度)の入力が必要になりますのでご準備ください.

参加登録

  • 本研究会に参加を希望される方は以下のフォームより登録をお願いします.
  • 登録後,開催情報等を記載したWebページへのアクセス方法がメールにより届きます.
  • 登録後,一定時間が経過してもメールが届かない場合には,お手数ですが担当(深谷)までお問い合わせください.

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    参加方法(現時点の予定で構いません)【必須】
    現地参加オンライン参加


    プログラム

    7月28日(木) 現地会場:803会議室

    セッション1:線形計算一般 13:30 – 15:00 座長:深谷猛(北海道大学)

    • 講演1(13:30 – 14:00)
      弱既約非負テンソルのペロンベクトルに対する精度保証付き数値計算法
      ○宮島信也(岩手大学)
      概要: 弱既約非負テンソルのペロンベクトルの計算はスペクトラルハイパーグラフ理論や多重マルコフ過程等に現れる。また、その精度保証付き数値計算は数理モデルの構築に有用である。講演者が把握している限り、このベクトルに対する精度保証付き数値計算法は講演者が過去に発表したもの以外には知られていない。ただし、この方法はある限られたクラスの弱既約非負テンソル対してのみ適用可能である。本講演では、すべての弱既約非負テンソルに対して適用可能な方法を提案する。
    • 講演2(14:00 – 14:30)
      An Optimization Method for Solving Sparse Linear Systems using Lower Dimension Estimators
      ○Alexander Thomas Magro (The University of Tokyo), Kengo Nakajima (The University of Tokyo/RIKEN R-CCS)
      概要: An Optimization Method for Solving Sparse Linear Systems using Lower Dimension Estimators
      Preconditioners are generally required for timely convergence of iterative methods. While the literature has focused on improving iterative methods through more accurate and complex preconditioners, very little research has been done on effective initialization schemes. Standard practice is to start an iterative method from the 0 vector, but, we show for sparse coefficient matrices, we can significantly cut computational time by using solutions of lower dimension problems that are spliced from the original domain. This leads to many independent problems that can be solved efficiently using distributed computing, leading to a faster algorithm overall.
    • 講演3(14:30 – 15:00)
      Wisteria/BDEC-01(Odyssey)における前処理付き反復法の高速化
      ○中島研吾(東京大学情報基盤センター/理化学研究所計算科学研究センター)
      概要: Wisteria/BDEC-01(Odyssey)における前処理付き反復法の高速化
      Wisteria/BDEC-01(Odyssey)はA64FXを7,680ノード搭載したシステムである。本研究では,MGCG法,ICCG法等の前処理付き反復法を,通信と計算のオーバーラップにより高速化するための手法を紹介し,計算例を示す。

    セッション2:低精度・混合精度計算 15:15 – 16:45 座長:相島健助(法政大学)

    • 講演4(15:15 – 15:45)
      固有値・特異値分解の混合精度数値計算法の性能評価
      ○内野 佑基(芝浦工業大学),寺尾 剛史(理化学研究所),尾崎 克久(芝浦工業大学)
      概要: 実対称固有値分解及び特異値分解の反復改良法について報告する.近年,荻田と相島によって実対称固有値分解及び特異値分解の反復改良法が提案された.本手法はある程度正確な初期値に対して2次収束性を持つ.本研究では固有値・特異値に重複や近接がない問題について,荻田・相島法を高速化した手法を紹介する.数値実験ではCPUとGPUにおいて単精度ソルバの結果を反復改良した場合と倍精度ソルバの性能を比較した結果も報告する.
    • 講演5(15:45 – 16:15)
      悪条件連立1次方程式に対する混合精度直接法の高速化
      ○寺尾 剛史(理化学研究所)、荻田 武史(東京女子大学)
      概要: 本発表では、連立1次方程式の低精度LU分解を用いた混合精度数値計算法について述べる。近年、GMRESを用いた反復改良法が提案され、従来よりも悪条件な疎行列の問題を扱えるようになった。しかし、係数行列が悪条件の場合、LU分解の結果には不必要な情報が含まれる。我々は、LU分解を途中で停止することによる計算コストの低減法を提案する。発表では停止条件による反復改良の収束の結果を紹介する。
    • 講演6(16:15 – 16:45)
      ILUT前処理への低・任意精度の適用可能性の検討
      ○河合 直聡(東京大学 情報基盤センター), 中島 研吾(東京大学 情報基盤センター, 理化学研究所 計算科学研究センター)
      概要: 本研究では、閾値付き不完全LU分解(ILUT)前処理への低精度・任意精度の適用可能性について検討する。ILUT前処理では閾値以上のFill-inを許すことで不完全LU分解(ILU)前処理よりも高い収束性を実現しているが、同時にILU前処理よりも高い演算精度が要求される。また、ILUT前処理では計算時間の増加も問題となるため、演算精度と計算時間を両立する低精度・任意精度の利用方法を検討する。

    セッション3:固有値問題・特異値問題 17:00 – 18:30 座長:保國惠一 (筑波大学)

    • 講演7(17:00 – 17:30)
      Koopman作用素に関するマルチパラメータ固有値問題
      ○橋本悠香(NTT),池田正弘(理研AIP),中尾裕也(東工大),河原吉伸(九大)
      概要: Koopman作用素に関するマルチパラメータ固有値問題について考える.Koopman作用素は,力学系の時間発展を表す線形作用素である.マルチパラメータ固有値問題は,固有値問題の一般化で,元々は常微分方程式と関連付けて調べられていた.本発表では,Koopman作用素に関するマルチパラメータ固有値問題から,相互作用をしている力学系要素の集団的な振動に関する説明を与える位相モデルが復元できることを示す.
    • 講演8(17:30 – 18:00)
      ある線形回帰モデルに対して特異値分解を用いて計算する推定量の一致性について
      ○相島健助(法政大学)
      概要: 通常の線形回帰モデルにおいて,最小二乗解は統計的な意味での一致推定量である.しかしながら,線形回帰モデルの説明変数が誤差を含む場合,最小二乗解が一致推定量にならず,この場合,特異値分解を用いて計算される全最小二乗解が一致推定量になる.本発表では,上記のモデルが等号制約を含む場合を考え,特異値分解を用いる一致推定量の計算手法をいくつか与える.これらの計算手法の推定精度の比較実験を行い,高精度な計算手法を明らかにする.
    • 講演9(18:00 – 18:30)
      少数のシフトが実数であるレゾルベントによる 固有値が下端付近の固有対を解くためのフィルタの構成と実験
      ○村上弘(東京都立大学)
      概要: フィルタを用いて実対称定値一般固有値問題の固有対で固有値が下端付近のものの近似を求める.少数のレゾルベントと恒等作用素の線型結合のチェビシェフ多項式をフィルタとする.必要な固有値が下端付近にあることからレゾルベントのシフトを最小固有値未満の実数に選ぶと,レゾルベントの作用を与える連立1次方程式は係数が実対称定値になり枢軸交換をせずに対称性を利用して実数演算だけで安定に解ける.以上の数値実験を行う.