第34回単独研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第34回研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第34回研究会を開催致します.

  • 開催日:2022年12月6日(火)
  • 会場:オンライン(zoom)

オンライン開催のため、事前登録制とさせて頂きます.参加・講演を希望される方は下記の「参加申し込みフォーム」・「講演申し込みフォーム」より登録をお願い致します。両フォームは独立したものですので,講演をご希望の場合は,講演申し込みとは別途,参加申し込みもお願い致します.講演時間は,質疑応答を含めて20分~30分を予定しています(全体の講演数を踏まえて決定致します).

本研究会での発表には,JSIAM Letters 誌への投稿権が付与されます.(著者に日本応用数理学会会員が含まれていなくても JSIAM Letters 誌への投稿機会が与えられます.投稿受付期間は 2022年12月7日~2023年12月31日 です.)

問い合わせ先:aiharak <at> tcu.ac.jp(担当:東京都市大学 相原 研輔)


参加申し込みフォーム

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    プログラム

    オープニング(13:20~13:25):保國 惠一(筑波大学)

    第1セッション 座長:廣田 悠輔(福井大学)

    講演1(13:25~13:50):○村上 弘(東京都立大学)
    固有値問題のフィルタ解法に対する弱いフィルタによる前処理について

    概要:固有値問題で固有値が指定範囲の固有対をフィルタを用いて近似する.フィルタはレゾルベントの線形結合の多項式とする.ベクトルの組にフィルタを適用して不要な固有ベクトルの含有率を下げて,それの張る空間が必要な不変部分空間の良い近似となるようにする.一般的な状況ではランダムなベクトルの組にフィルタを適用するが,その前に性能は低いが手間の少ない別のフィルタを適用して不要な固有ベクトルの含有率を減らしておくと,不変部分空間の近似の精度が高まる.

    講演2(13:50~14:15):○尾崎 克久(芝浦工業大学),寺尾 剛史(理化学研究所)
    実対称一般化固有値分解に対する精度検証のためのテスト問題の生成法

    概要:実対称一般化固有値問題(AX=BXD,Aは実対称行列,Bは実対称正定値行列,Xは固有ベクトル行列,Dは固有値が対角成分に並ぶ対角行列)の計算結果の精度を検証できるテスト問題の生成法について述べる.固有値とBの固有値分布の目標を与え,真の固有値と固有ベクトルが厳密にわかる行列AとBを構成する.これにより全近似固有値の相対誤差の確認,反復解法の収束解析,精度保証による誤差半径の評価への応用が期待される.講演ではテスト問題の生成法と関連定理,また数値実験結果について紹介する.

    講演3(14:15~14:40):○宮島 信也(岩手大学)
    既約非負行列のペロンベクトルの大小関係について

    概要:A を既約非負行列とする.A の1つの行(第 k 行とする)の各要素に1よりも大きな一定の実数をかけた行列を B とする.v, w をそれぞれ A, B のペロンベクトルとする.ただし,v と w の第 k 成分は一致するものとする.本講演では,w の第 k 成分以外の成分は,対応する v の成分よりも小さいことを証明する.

    第2セッション 座長:橋本 悠香(日本電信電話)

    講演4(14:55~15:20):相原 研輔(東京都市大学),今倉 暁(筑波大学),○保國 惠一(筑波大学)
    後退安定な直交化を用いたブロックLanczos解法の残差ギャップについて

    概要:線形方程式に対するLanczos解法では,大きな残差ギャップ(真の残差と反復式で更新される残差の差)が近似解の精度を悪化させることが知られている.複数右辺ベクトルをもつ線形方程式に対するブロックLanczos解法は,数値的安定性のため残差行列や探索方向行列の列ベクトルに直交化を施す.本研究は,後退安定に直交化が施された場合の残差ギャップを丸め誤差解析により定量的に評価し,厳密な直交化が施された場合と同程度の精度をもつ近似解が得られることを示す.

    講演5(15:20~15:45):○今倉 暁(筑波大学),保國 惠一(筑波大学),高安 亮紀(筑波大学)
    無限次元固有値問題に対する複素モーメント型解法とその性能評価

    概要:近年,無限次元固有値問題に対して,作用素の離散化を経由しない”solve-then-discretize”パラダイムに基づく解法が注目されている.本講演では,このアイディアに基づき,高い並列性を持つ行列固有値解法として知られる”複素モーメント型固有値解法”を無限次元固有値問題向けに拡張する.提案法は”solve-then-discretize”パラダイムに基づく高精度性と”複素モーメント型固有値解法”に基づく高並列性を持つ.また,シュレディンガー方程式などの無限次元固有値問題に対して,提案法の性能評価を行う.

    講演6(15:45~16:10):○今倉 暁(筑波大学 システム情報系),角田 亮也(筑波大学附属病院),香川 璃奈(筑波大学 医学医療系),山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系),櫻井 鉄也(筑波大学 システム情報系)
    複数機関が分散保持するデータに対するデータコラボレーション生存時間分析

    概要:近年,複数機関が分散保持するデータに対するプライバシー保護計算技術が注目されている.本研究では,生存時間分析に着目し,機密情報を含む生データではなく次元削減された中間表現を共有するデータコラボレーション技術を提案する.提案技術は生データを共有することなく各特徴量の生存時間に対する寄与度および対応するp値を計算可能である.また,数値実験から提案法の有効性を検証する

    第3セッション 座長:相原 研輔(東京都市大学)

    講演7(16:25~16:50):○山本 有作(電気通信大学),今倉 暁(筑波大学),緒方 秀教(電気通信大学)
    量子力学の固有値問題に対する緒方の方法の加速について

    概要:最近,緒方により,量子力学の固有値問題(K+V)ψ=Eψ(K:運動エネルギー演算子,V:ポテンシャル演算子)に対する新しい解法が提案された.本手法では,G=K^{-1}が積分により表示されることを利用して,方程式を積分方程式に変換し,数値不定積分を用いてこれを反復的に解く.本発表では,この反復の加速法として,Kの代わりに,ポテンシャルの一部を取り込んだ演算子K’を用いる方法を提案する.

    講演8(16:50~17:15):○橋本 悠香(NTTネットワークサービスシステム研究所)
    Koopman作用素の固有値分解のHilbert C*-moduleへの拡張

    概要:Koopman作用素は,力学系に関連する合成作用素であり,そのスペクトルは,力学系の解析において重要である.本講演では,Koopman作用素の固有値分解による特徴抽出に関して考える.Koopman作用素は,一般には連続スペクトルを持つため,Hilbert空間上で考えられる通常の固有値分解では,不十分な場合がある.そこで,Koopman作用素に関連する作用素をHilbert C*-module上で定義し,固有値分解をHilbert C*-moduleに拡張する.これにより,連続スペクトルの情報を抽出する試みについて議論する.

    講演9(17:15~17:40):○山田 光隆(京都大学),佐藤 寛之(京都大学)
    シンプレクティック固有値問題に対する多様体上の共役勾配法

    概要:任意の正定値対称行列はシンプレクティック行列によって対角化でき,その対角成分を求める問題をシンプレクティック固有値問題と呼ぶ.この問題は,シンプレクティック行列全体からなるシンプレクティック群や,関連するリーマン多様体であるシンプレクティックシュティーフェル多様体上の最適化により解くことができる.本発表では,シンプレクティックシュティーフェル多様体上の共役勾配法を新たに提案し,数値実験により既存の最急降下法との比較を示す.

    クロージング(17:40~17:45):保國 惠一(筑波大学)

    懇親会(18:00~): zoom上でのオンライン懇親会を予定しています.ぜひお気軽にご参加下さい.


    講演申し込みフォーム( 〆切:2022年11月8日(火))

    〆切延長:2022年11月15日(火) 迄

    講演申し込みは締め切りました.