第35回単独研究会(SWoPP2023)

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第35回研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第35回研究会を開催致します.本研究会は「2023年並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ (SWoPP2023)」において,電子情報通信学会の3研究会,情報処理学会の4研究会,およびxSIGとの連携により開催されます.

  • 開催日: 2023年8月3日(木)9:25 ~ 14:55
  • 会場: 函館アリーナおよびオンラインのハイブリッド開催を予定
  • SWoPP2023のWebページ:https://sites.google.com/site/swoppweb/swopp2023
  • 本研究会の発表に対してJSIAM Letters の投稿権の付与を予定しています。
  • 1件当たりの発表時間は20分~30分(質疑応答込み)の予定です(調整中).
  • 現地発表および遠隔発表のどちらも受け付けます。
  • 注意:研究会の実施に関しては,SWoPP2023の方針に準ずるため,必要に応じて,上記のSWoPP2023のWebページを適宜ご確認ください.
  • 問い合わせ先:fukaya ‘@’ iic.hokudai.ac.jp (担当:北海道大学 深谷猛)

発表申込

  • 発表申込期間:2023年5月8日(月)~5月12日(金)23:59 終了しました。
  • 発表申込の際は,講演題目,著者(所属),登壇者(所属),連絡先メールアドレス,講演概要(200字程度),発表方法(現地 or オンライン,現時点の予定で構わない),備考を以下のフォームから登録してください.
  • 発表申込フォームを再オープンしました(5/9)。ご迷惑おかけしました。
  • 一部で受付確認メールが届かない不具合が確認されています。また,諸般の事情により,すぐに解決するのが難しい状況です。一定時間が経過しても確認メールが届かない場合,お手数ですが、上記の問い合わせ先(深谷)までご一報いただければ幸いです。ご迷惑おかけして申し訳ありません。ご理解・ご協力いただければ幸いです。

参加登録(オンライン参加者用)

  • SWoPP2023本体の参加登録もお願いします。詳細はこちらをご参照ください。
  • 一定時間が経過しても確認メールが届かない場合,お手数ですが、上記の問い合わせ先(深谷)までご一報いただければ幸いです。
  • 現地参加予定の方で、Slackの情報が必要な場合には、参加登録をお願いします。

    氏名【必須】

    所属【必須】

    メールアドレス【必須】


    プログラム ※SWoPP2023全体プログラムはこちら

    8月3日(木) 現地会場:スタジオB

    セッション1:行列計算一般と応用 座長:深谷猛(北海道大学)

    講演1(09:25 – 09:50):〇村上弘(東京都立大学)
    行列の一般固有値問題に対してレゾルベントの線型結合の多項式であるフィルタにその多項式の次数を減じた別のフィルタの併用による近似解の精度向上

    概要:行列の一般固有値問題の固有対で固有値が指定された区間にあるものの近似を求めるのにレゾルベントの線型結合の多項式であるフィルタを用いる.その解法においてベクトルの組の再直交化を間にはさんで同一のフィルタを二回適用することで得られる解の精度を向上させることができるが,そのかわりに多項式の次数だけを減じた別のフィルタを本来のフィルタの前あるいは後に適用することにより計算の手間の増加を抑えることができる.

    講演2(09:50 – 10:15):〇相島健助(法政大学)
    パラメータ空間に関する制約付きの線形回帰モデルに対する一致推定量

    概要:説明変数が確率的な摂動を含む線形回帰モデルは,応用上よく現れ重要である.このモデルのパラメータ推定には,行列の特異値分解がよく用いられ,これにより一致推定量が得られる.このモデルを拡張し,行列にランク制約を課す場合や,高精度に観測可能なデータに対応して等号制約を設ける場合もある.本発表では,この種の制約をパラメータ空間に関する条件と解釈し,適切な部分空間への射影により一致推定量を得られることを示す.

    講演3(10:15 – 10:40):〇千代延未帆(奈良女子大学),久保井五貴(福井大学),田中利佳(福井大学),小澤伸也(福井大学),細田陽介(福井大学),髙田雅美(奈良女子大学),木村欣司(福井大学),中村佳正(大阪成蹊大学)
    LSMR法における条件数を用いた反復計算の打ち切りと高効率の機械学習

    概要:今日の画像処理技術において,ぼやけ画像の鮮明化は不良条件の連立一次方程式問題である.大次元疎行列を係数に持つ不良条件の線形方程式に対して,反復解法の一つであるLSMR 法を適用する.反復解法を用いる場合,ノイズの影響を少なくするために,適切な回数で反復計算を停止する必要がある.反復停止則として機能する2 重対角行列の条件数の計算には,特異値計算のためのDQDS 法を採用する.本研究報告では,ぼやけ画像と最適な組のデータ,ぼやけ画像行列に特異値分解を適用し,規格化した特異値のデータ,両者のデータをそれぞれ利用した,機械学習に関する性能の比較を行う.

    セッション2:高精度計算と精度保証 座長:相島健助(法政大学)

    講演4(10:55 – 11:20):今倉暁(筑波大学),〇保國惠一(筑波大学),高安亮紀(筑波大学)
    微分作用素の固有値に対する複素モーメントを用いた精度保証付き数値計算

    概要:微分作用素の固有値を精度保証付きで数値計算する新しい手法を提案する。作用素を離散化することなく関数をチェビシェフ多項式で近似することで、所望の固有値をもつ小規模な一般化ハンケル行列固有値問題に帰着させる数値計算手法を応用する。複素モーメントの計算に必要な数値求積における打切り誤差、各積分点に関する微分方程式の求解に生じる丸め誤差、および微分作用素に加わる摂動等を評価することで固有値を包含する。

    講演5(11:20 – 11:45):〇内野佑基(芝浦工業大学),尾崎克久(芝浦工業大学)
    高精度行列積に対する効率的なアプローチ

    概要:高精度行列乗算アルゴリズムの尾崎スキームを扱う.尾崎スキームは高精度行列積を複数の低精度行列積の和に無誤差変換する手法である.従来法では無誤差変換に使用する定数が過大となり,行列乗算回数が必要以上に多くなる.そこで,より小さな定数を決定する手法を提案する.従来法よりも少ない行列乗算で同程度の精度を得ることや,同じ行列乗算回数でより高精度な結果を得ることを目指す.提案手法を評価した数値実験結果も紹介する.

    講演6(11:45 – 12:10):〇尾崎克久(芝浦工業大学),寺尾剛史(九州大学)
    行列分解に関するテスト問題の生成法と精度保証付き数値計算

    概要:本発表では,数値線形代数における行列分解のテスト問題について述べる.代表的な問題であるCholesky分解,LU分解,QR分解などを例題とし,真の分解ファクタがわかるテスト問題を浮動小数点数のエラーフリー変換を用いて生成する方法について述べる.また,数値実験により提案手法の性能を紹介し,生成能力の限界についての調査結果を報告する.最後に近似分解ファクタに対する精度保証法もあわせて提案する.

    セッション3:連立一次方程式の解法と前処理 座長:廣田悠輔(福井大学)

    講演7(13:40 – 14:05):〇桝井晃基(大阪大学)
    大規模電磁場解析ソフトウェアにおける反復法へのIC(1)前処理の組み込み及び性能評価

    概要:高周波電磁場解析などで得られる複素対称線形方程式の求解においては,反復法の収束性が悪いことが知られている.この反復法における前処理としては,収束性改善の観点からIC(0)やフィルインを考慮したIC(1)が数値計算により有効だということが知られているが,実際のソフトウェアに対してIC(1)を適用したときの反復回数や計算時間,可視化した時の評価は自明ではない.そこで今回は,大規模電磁場解析システムADVENTUREにIC(1)を組み込みをした時の性能を評価し,その結果を報告する.

    講演8(14:05 – 14:30):〇岩下武史(北海道大学),深谷猛(北海道大学)
    ブロックヤコビIC前処理付きCG法の収束性に関する分析

    概要:ブロックヤコビIC前処理は、IC前処理の最も簡便な並列化手法として知られ、応用においてもよく使用されている。ブロックヤコビ前処理には、並列数(スレッド数、プロセス数)が増加した場合において、前処理の効果が低下することが知られている。本発表では、この前処理効果の低下について、Remainder matrixの行列ノルム、前処理後の係数行列の固有値分布による分析結果を報告する。

    講演9(14:30 – 14:55):〇中島研吾(東京大学情,理化学研究所)
    並列多重格子法における通信・計算オーバーラップの最適化

    概要:Krylov部分空間法に基づく前処理付き反復法は,様々な科学技術計算で使用されている.大規模な並列計算機を使用する場合,ノード数の増加によって通信のオーバーヘッドは増加する傾向にあり,その削減は重要な課題である.並列有限要素法,差分法において,Halo通信と計算のオーバーラップ(CC-Overlapping)は,OpenMP の動的ループスケジューリングの機能と組み合わせて広く使用されている.この手法は,主として疎行列ベクトル積(SpMV),陽解法に適用されてきたが,著者等による先行研究では,ICCG法,ICスムージングによる多重格子法など,前進後退代入を含むようなプロセスにCC-Overlappingを適用するための手法を提案し,良好な性能改善が得られている.本研究では,様々な並列計算機環境におけるパラメータの影響について検討し,最適パラメータの選択について検討する.