日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第37回研究会
日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第37回研究会を開催致します.本研究会は「2024年並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ (SWoPP2024)」において,電子情報通信学会の3研究会,情報処理学会の4研究会,およびxSIGとの連携により開催されます.
- SWoPP2024 開催日: 2024年8月7日(水)- 8月9日(金)
- 会場: あわぎんホール(徳島県徳島市)およびオンラインのハイブリッド開催を予定
- SWoPP2024のWebページ:https://sites.google.com/site/swoppweb/
- 本研究会の発表に対してJSIAM Letters の投稿権の付与を予定しています。
- 1件当たりの発表時間は25分(質疑応答込み)の予定です.
- 現地発表および遠隔発表のどちらも受け付けます。
- 注意:研究会の実施に関しては,SWoPP2024の方針に準ずるため,必要に応じて,上記のSWoPP2024のWebページを適宜ご確認ください.
- 問い合わせ先:y-hirota ‘@’ u-fukui.ac.jp (担当:福井大学 廣田悠輔)
発表申込
発表申込期間:2024年5月10日(金)~5月16日(木)23:59終了しました- 追加発表申込期間:2024年5月20日(月)~5月24日(金)23:59(申込み多数の場合には原則として先着順とさせていただき,早期に募集を締め切る可能性があります)
- 発表申込の際は,講演題目,著者(所属),登壇者(所属),連絡先メールアドレス,講演概要(200字程度),発表方法(現地 or オンライン,現時点の予定で構わない),備考を以下のフォームから登録してください.
募集は締め切られました.
参加登録
- SWoPP2024本体の参加登録もお願いします。詳細はこちらをご参照ください。
- 一定時間が経過しても確認メールが届かない場合,お手数ですが、上記の問い合わせ先(廣田)までご一報いただければ幸いです。
プログラム ※SWoPP2024全体プログラムはこちら。
8月9日(金) 現地会場:会議室6(5F)
セッション MEPA-1:線形計算アルゴリズムと高速化 座長:深谷猛(北海道大学)
講演 (1)(14:00 – 14:25):〇工藤周平 (電気通信大学)
行行列関数近似を用いた対称行列逆数平方根関数計算の高速化
対称行列逆数平方根関数は気象シミュレーションにおけるデータ同化計算などの科学技術計算に用いられており,計算の高速化が求められている.本発表では,この行列関数に対しレゾルベント和を用いた関数近似を行い,その結果出現する複数の逆行列計算をバッチ・タイルのハイブリッド型並列化する行列関数計算手順を提案する.この結果,アプリが必要とするサイズ・精度で計算する場合,行列対角化手法と比べてマルチコアCPU上において約2倍の高速化が実現されることを示す.
講演 (2)(14:25 – 14:50):〇大場勇貴(筑波大学),手塚太郎(筑波大学),長谷川秀彦(筑波大学・工学院大学)
行列の特性情報と多チャンネル化した行列画像を活用した反復法の収束判定
反復法は、連立一次方程式によって収束しない場合や多くの反復を要する場合がある。本研究では収束性の観点で最適な反復法を自動選択することを目的とする。具体的には行列を画像化し画像分類モデルで判定する。本発表では性能向上のための2つの改善について報告する。1つめは、既存手法であるグレースケール画像化を拡張した多チャネル画像化である。2つめは、連立一次方程式のソースとなる数理的問題の特性情報を表データとして、画像と表データを共に扱うモデルの利用である。
※ 講演 (3) はセッション MEPA-1 からセッション MEPA-2 に移動しました.
セッション MEPA-2:高精度計算と精度保証 座長:相島健助(法政大学)
講演 (4)(15:30 – 15:55):〇瀬戸翔太(筑波大学),今倉暁(筑波大学),保國惠一(筑波大学),高安亮紀(筑波大学)
周回積分に基づく精度保証付き固有値解法の並列実装
高い並列性を持つ周回積分に基づく固有値解法である櫻井・杉浦法に対して、近年区間演算を用いた精度保証付き固有値解法が提案された。この精度保証付き固有値解法は、エルミート一般化固有値問題の指定した領域内に存在する固有値及び対応する固有ベクトルを精度保証付きで計算する。本講演では、この精度保証付き固有値解法を高水準言語であるJulia言語を用いて並列実装し、計算性能を評価する。
講演 (5)(15:55 – 16:20):〇尾崎克久(芝浦工業大学),小泉透(名古屋工業大学)
FMAを巧みに利用した高精度行列積アルゴリズム
本講演では行列積(内積)の高精度計算について新しいアルゴリズムを紹介する.通常の浮動小数点演算では計算結果の正確性が不十分な場合,高精度計算の使用が考えられる.特に指数部の範囲に問題はなく,仮数部の範囲を疑似的に拡大したい場合には,例えばLangeとRumpによるpair arithmetic, Baileyによるdouble word arithmeticなどの方法がある.pair arithmeticやdouble word arithmeticよりも低コストである高精度計算方法を実現するために,Fused Multiply-Addを巧みに使用したアルゴリズムを設計し,数値実験によりその有用性を示す.
講演 (6)(16:20 – 16:45):〇内野佑基(理化学研究所),尾崎克久(芝浦工業大学),今村俊幸(理化学研究所)
明示的な実対称固有値問題の高速生成法
真の固有対が明示された実対称行列を高速に生成する手法を紹介する.真の固有対が分かるテスト行列は,近似固有対の誤差の検証に有用である.本手法により生成される行列の成分は浮動小数点数で厳密に表現可能であり,また固有値を用いて明示的に表現することができる.講演では,生成可能な固有値の制約や応用についても言及する.
※ 講演 (3) はセッション MEPA-1 からセッション MEPA-2 に移動しました.
講演 (3)(16:45 – 17:10):〇河合直聡(名古屋大学),荻田武史(早稲田大学),中島研吾(東京大学)
低・混合精度演算を適用した疎行列ソルバの精度評価
近年の数値計算分野では低・混合精度演算の利用が広く議論されているが、得ら れる結果の妥当性に関しての検討は不十分であり、解の精度の明確化は、低・混 合精度演算の実用化のために必要である。本研究では、荻田等が提案した反復法の精度保証手法を、MM形式のデータを扱え る粗行列ソルバに実装し、様々な問題での低・混合精度演算の精度を評価した。
セッション MEPA-3:行列計算一般と応用 座長:廣田悠輔(福井大学)
講演 (7)(17:25 – 17:50):〇相島健助(法政大学)
共線性をもつ線形回帰モデルに対する一致推定量の構成
説明変数が確率的な誤差を含み,かつ共線性を持つ線形回帰モデルのパラメータ推定について考える.この推定では,特異値分解を用いた最適化計算を行うのが標準的である.ただし,共線性により,求めるべき解は集合をなし,一意性が損なわれるため,通常は最小ノルム解を計算する.本発表では,上記の特異値分解を用いた計算により,解の集合そのものが推定可能であり,強収束の意味での一致推定量となることを示す.
講演 (8)(17:50 – 18:15):〇増田伊吹(筑波大学),二村保徳(筑波大学),Jianbo Lin(物質・材料研究機構),Anh Khoa Augustin Lu(物質・材料研究機構),田村亮(物質・材料研究機構),宮崎剛(物質・材料研究機構),櫻井鉄也(筑波大学)
モジュラリティ行列の固有値計算に基づいた次元削減手法
モジュラリティはグラフにおける頂点集合の分割の質を表す指標の一つであり、ネットワーク上のコミュニティ検出において広く用いられている。本研究では重みつき無向グラフで定義されるモジュラリティ行列の固有値計算に基づいた次元削減手法を提案し、定量的・定性的な評価を行う。また、グラフラプラシアン行列に基づいた次元削減手法との関連性について検討する。
講演 (1)(18:15 – 18:40):〇村上弘(東京都立大学)
添字の置換による2つの行列の一致性の判定について
添字の置換をうまく選ぶと2つの行列が一致するかの判定と、一致する場合にはその置換を具体的に示す方法について考察をする。行列の要素は相違が区別できるものであれば良く、それを数値で置き換えた行列の判定に帰着できる。数値行列に対する判定の処理は、近似計算で行うことにする。置換の操作は行列要素の配置を変更するだけで要素の値自身は変更しないので、候補となる置換を求めたらそれによる一致性の判定は厳密に行える。