日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第38回研究会を開催致します.
- 開催日:2024年12月12日(木)14:00~
- 会場:オンライン(Zoom)
オンライン開催のため,事前登録制とさせて頂きます.参加・講演を希望される方は下記の「参加申し込みフォーム」・「講演申し込みフォーム」より登録をお願い致します.両フォームは独立したものですので,講演をご希望の場合は,参加申し込みと講演申し込みの両方の登録をお願い致します.講演時間は,質疑応答を含めて20分~30分を予定しています(全体の講演数を踏まえて決定致します).
本研究会での発表には,JSIAM Letters 誌への投稿権が付与されます.(著者に日本応用数理学会会員が含まれていなくても JSIAM Letters 誌への投稿機会が与えられます.投稿受付期間は 2024年12月13日~2025年12月31日 です.)
問い合わせ先:aiharak <at> tcu.ac.jp(担当:東京都市大学 相原 研輔)
参加申し込みフォーム
・参加申し込みは締め切りました.
講演申し込みフォーム( 〆切:2024年11月12日(火) 11月19日(火)に延長しました)
・講演申し込みは締め切りました.
プログラム
オープニング(14:00~14:05):相原 研輔(東京都市大学)
第1セッション 座長:廣田 悠輔(福井大学)
講演1(14:05~14:30):今倉 暁(筑波大学),○保國 惠一(筑波大学),高安 亮紀(筑波大学)
MathieuおよびSchrodinger固有値問題に対する複素モーメントを用いた精度保証付き数値計算
概要:微分作用素の固有値に対して、複素モーメントを用いた精度保証付き数値計算法を提案する。微分作用素はLaplace作用素から摂動されたものとし、摂動による固有値への影響をKrylov–Weinstein不等式で評価することで、複素モーメントの計算における数値積分の打切り誤差を評価する。Mathieu固有値問題およびSchrödinger固有値問題に対する数値実験により、提案法の性能を示す。
講演2(14:30~14:55):○千代延 未帆(奈良女子大学大学院),髙田 雅美(奈良女子大学),木村 欣司(福井大学),中村 佳正(大阪成蹊大学)
主成分分析のための新たなシフト戦略によるOQDS法の実装方法
概要:主成分分析では、大きいほうから数個の特異値と特異ベクトルが必要になる。その目的のために、拡大行列に対する2分法と逆反復法の組み合わせが利用されるが、glued Kimura行列のように逆反復法が失敗する入力行列も存在する。OQDS法は、計算途中で行列が分割されなければ、下2重対角行列の小さいほうから数個の特異値と右特異ベクトルを高精度に計算できるが、主成分分析へ応用する場合には不都合であり、OQDS法の実装を修正する必要がある。これまでの発表内容に加えて更なる高速化を達成したため、完成した手法について発表する。
第2セッション 座長:相島 健助(法政大学)
講演3(15:10~15:35):○鷲尾 巧(UT-Heart研究所,東京大学),藤井 昭宏(工学院大学)
多粒子系Overdamped Langevin方程式をランダム力修正付きの準陰解法で解く際の前処理付き共役勾配法の利用について
概要:生命科学の分野で生じる多粒子系Overdamped Langevin方程式を大きな時間刻み幅で時間積分するためには準陰解法の適用が必須となる. 準陰解法は人工的な摩擦係数を付加した陽解法とも見做すことができるため筆者らは人工的摩擦係数に整合するランダム力を元のランダム力に重ね合わせることにより陽解法と同等の確率密度分布を実現することのできる時間積分法を提案してきた。ここでは、離散化された方程式をランダム力修正も考慮したうえで, 前処理付き共役勾配法で効率的に解くアルゴリズムについて提案する.
講演4(15:35~16:00):○高谷 周平(個人)
前処理つきDeflated BiCG法及びBiCR法の5つのバリアントの性能検証
概要:BiCG法及びBiCR法に対するdeflation及び従来型前処理の同時適用を検討する。Tangらがdeflated CG法について整理した5種の方法をBiCG法とBiCR法に適用し、各手法の数値的検証を行う。収束性の基礎検討にはSuiteSparse Matrix Collectionの数千自由度規模の行列を、実行時間の比較については構造解析の接触非線形問題から得られた100万自由度程度の行列を、それぞれ使用した。
講演5(16:00~16:25):川瀬 杏里紗(東京都市大学),○相原 研輔(東京都市大学)
残差平滑化スキームによるBi-CG法からBi-CR法への変換
概要:残差平滑化スキームは,残差ノルムが振動するクリロフ部分空間法に対して収束振る舞いを滑らかにするだけではなく,異なる解法同士の変換を与える性質もある.例えば,対称行列向けのCG法の残差に対して,最小残差スムージングを適用すると,CR法と等価な残差が生成されることが知られている.本研究では,非対称行列向けの基幹解法であるBi-CG法とBi-CR法に対して,ある種の残差平滑化スキームを介して同様の変換が導けることを示す.
第3セッション 座長:深谷 猛(北海道大学)
講演6(16:40~17:05):○依田 凌(University of Wuppertal),Matthias Bolten(University of Wuppertal)
CPU-GPU環境におけるBEC前処理付きGMRES法の性能評価
概要:時間依存偏微分方程式に対する時間並列解法の並列実装と性能評価は従来CPU環境を中心に行われてきた.本発表ではその一つであるBlock epsilon-circulant(BEC)を前処理とするGMRES法を対象に,CPU-GPU環を踏まえた並列実装と性能評価を行う.この手法は高い収束性とスケーラビリティを併せ持つ手法として近年注目されており,主に空間サイズの複素値係数行列を持つ線形方程式の求解と時間サイズの一次元ベクトルに対するFFTで構成される.本発表では前者の求解にGPUリソースを用いたマルチグリッド法を利用し,そのスムーザー選択について議論する.また数値実験ではBEC前処理付きGMRES法の強スケーリング性能を報告する.
講演7(17:05~17:30):○橋本悠香(NTT / 理研AIP),岩田具治(NTT)
Toeplitz行列を用いた深層Koopman-layeredモデル
概要:本発表では,非斉次力学系から生じる時系列データを解析するための,深層Koopman-layeredモデルを提案する.深層Koopman-layeredモデルは,作用素論的データ解析に基づき,Toeplitz行列形式で学習パラメータを持つ,理論解析のしやすさと柔軟性の両方を備えたモデルである.Toeplitz行列の普遍近似性とモデルにおける再生性により,モデルの普遍近似性と汎化性能を示す.さらに,モデルの柔軟性により,非斉次力学系から生じる時系列データに対しても高精度に解析を行う.
クロージング(17:30~17:35):相原 研輔(東京都市大学)
懇親会(18:00~): Zoom上でのオンライン懇親会を予定しています.ぜひお気軽にご参加下さい.