日本応用数理学会 2013年研究部会連合発表会

日本応用数理学会 2013年研究部会連合発表会

 

  • 開催日:2013年3月14日(木)~3月15日(金)
  • 場所:東洋大学 白山キャンパス(〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20)
  • 参加費:学生会員: 1,000円,一般会員: 2,000円,学生非会員: 2,000円,一般非会員: 4,000円
  • 連合発表会全体のWebページ:http://www2.toyo.ac.jp/~ezawa/jsiam/

プログラム(研究部会部分のみ)
 3月14日 (木)

【セッション1:固有値問題1】 座長: 多田野 寛人(筑波大学)(10:30-11:50)

  • 講演1(10:30-10:50)
    フィルタ対角化法のシミュレーションについて
    ○村上 弘(首都大学東京)

    概要:フィルタ対角化法は固有値問題の近似対を固有値の範囲に基づいて抽出する解法 である.問題の固有値分布を仮定した上で計算過程をシミュレーションすれば, 少ない計算量でフィルタ特性と固有値分布から決まる近似の誤差が見積もれる.

  • 講演2(10:50-11:10)
    totally nonnegative行列に対するdhTodaアルゴリズムのシフト戦略について
    ○福田 亜希子(東京理科大学),山本 有作(神戸大学/JST CREST),岩崎 雅史(京都府立大学),石渡 恵美子(東京理科大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:totally nonnegative(TN)行列に対する固有値計算アルゴリズムとして, dhTodaアルゴリズムがある.本講演では,シフト量となるTN行列の最小固有値の 下界の計算法を提案し,シフトを導入したdhTodaアルゴリズムの収束性について 述べる.

  • 講演3(11:10-11:30)
    ゲルシュゴリン集合の非線形固有値問題への拡張
    ○前田 恭行(筑波大学 M2),櫻井 鉄也(筑波大学,JST/CREST)

    概要:本研究では一般化固有値問題に対するゲルシュゴリン集合を非線形固有値問題に拡張する方法を提案する. さらにゲルシュゴリン集合を縮小する方法について述べる.

  • 講演4(11:30-11:50)
    ページランク計算に現れる固有値問題の解法について
    ○宮田 考史(名古屋大学),三森 浩平

    概要:Google で検索された Web ページの表示順序には, ページランクと呼ばれる指標が影響している. ページランクの決定は,固有値問題に帰着され, 問題の特徴を利用した特殊な解法が提案されている. これらを踏まえ,既存解法の収束性改善に取り組んだ結果を発表する.

昼休み(11:50-13:10)

【セッション2:固有値問題2・HPC】 座長: 伊藤 祥司(東京大学)(13:10-14:30)

  • 講演5(13:10-13:30)
    「重複固有値をもつ3重対角行列が定めるqd変数の漸近挙動について」
    ○赤岩 香苗(京都大学 M2),近藤 弘一(同志社大学),岩﨑 雅史(京都府立大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:qdアルゴリズムは,3重対角行列の固有値を求めるためのアルゴリズムとして有名である. 対称化できる3重対角行列の固有値は重複しないが、この場合のqd変数に関する収束性は既知である. 本講演では,3重対角行列が対称化できない場合,とりわけ重複固有値をもつ場合に, qd変数はどのような漸近挙動を示すのかを述べる.

  • 講演6(13:30-13:50)
    逆反復に基づく並列固有ベクトル計算のブロックCGS2アルゴリズムの適用による高速化
    ○石上 裕之(京都大学 M2),木村 欣司(京都大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:逆反復による固有ベクトルの並列計算では,再直交化プロセスが計算時間の大きなボトルネックになることが知られている. 本講演では,ブロック逆反復法の再直交化プロセスに,ブロックCGS2アルゴリズムを実装する. この実装により,並列計算機環境において,実対称3重対角行列の固有ベクトル計算を大幅に高速化できることを示す.

  • 講演7(13:50-14:10)
    Simultaneous Band Reduction of Two Symmetric Matrices
    ○Lei DU (University of Tsukuba, CREST/JST), Akira Imakura (University of Tsukuba), Tetsuya Sakurai (University of Tsukuba, CREST/JST)

    概要:In this talk, we propose a method for simultaneously reducing two symmetric matrices to two band matrices. The method can be implemented using Level-3 BLAS routines to achieve better performance.

  • 講演8(14:10-14:30)
    タイルQRアルゴリズムの動的スケジューリング実装
    ○鈴木 智博 (山梨大学)

    概要:マルチコアアーキテクチャ向きの行列分解の並列アルゴリズムにタイルアルゴリズムがある. 我々はタイルアルゴリズムの OpenMP,MPI によるハイブリッド並列実装を行っている. 今回の報告では動的スケジューリング方式による並列実装を OpenMP で実現し,静的スケジューリングとの比較を行う.

休憩(14:30~14:40)

【セッション3:線形方程式・特異値計算】 座長: 鈴木 智博(山梨大学)(14:40-16:20)

  • 講演9(14:40-15:00)
    「多重Lanczos過程に基づく連立1次方程式の数値解法」
    ○小橋 昌明(東京大学 M2),松尾 宇泰(東京大学),杉原 正顯(東京大学)

    概要:近年、複数本のshadow residualを用いた連立1次方程式の様々な 解法が提案されている.本発表では,複数本の初期ベクトルから 双直交系を生成するLanczos過程に基づいて導出した、新たな解法について紹介する.

  • 講演10(15:00-15:20)
    様々な前処理付きCGS法に対するクリロフ部分空間に注目した解析
    ○伊藤 祥司(東京大学),杉原 正顯(東京大学)

    概要:従来から用いられている典型的な2種類の前処理付きCGS(PCGS)の 各々の長所と短所について説明した上で,著者らが提案した改善版 PCGSは両者の長所のみを”いいとこ取り”したアルゴリズムである ことをクリロフ部分空間の構造と数値例により示す.

  • 講演11(15:20-15:40)
    BiCGStar法の提案と収束性検証
    ○藤野 清次(九州大学),牛尾 恵浩(九州大学 B4),村上 啓一(九州大学 M2)

    概要:准残差を使用する BiCGSafe法の考え方に基づき,GPBiCG法 の変形版の収束向上を図ったBiCGStar法を提案する. 数値実験にてその有効性を検証する.

  • 講演12(15:40-16:00)
    下3重対角行列向けoqds法の実装のための数理
    ○荒木 翔(京都大学M1),木村 欣司(京都大学),山本 有作(神戸大学),中村 佳正(京都大学)

    概要:特異値計算アルゴリズムを下3重対角行列向けに拡張することにより,前処理の手順を削減し,高速化を図る. 収束の加速のためにシフト戦略を構築し,さらにスプリットとデフレーションを行う条件を導出する.

  • 講演13(16:00-16:20)
    mdLVsアルゴリズムに関する数値安定性と計算量の改良
    ○永田 宗寛(中部精機株式会社),岩﨑 雅史(京都府立大学),木村欣司(京都大学),中村佳正(京都大学)

    概要:上2重対角行列の特異値を計算するアルゴリズムとして,mdLVsアルゴリズム が知られている. 本講演では,このアルゴリズムの数値安定性と計算量を改良 する方法をそれぞれ示し,有効性を述べる.


  • その他の注意:(講演を申し込まれた方向け)
    本連合発表会での講演には,以下の論文投稿権利が与えられます.いずれも,講演申込時に投稿有無を宣言する必要はありません.

    • 日本応用数理学会論文誌:
      「日本応用数理学会論文誌特集号論文」の形態をやめることにし,代わりに講演後原則として半年間の投稿を, 研究部会連合発表会の投稿として受け付けることになりました.この間の投稿については,査読プロセスが通常よりも迅速になるメリットがあります.
    • 英文電子ジャーナル”JSIAM Letters”:
      研究部会連合発表会の講演について,著者の少なくとも一人が日本応用数理学会 の会員であれば,発表から半年間の間は英文電子ジャーナル”JSIAM Letters”(http://jsiam.amp.i.kyoto-u.ac.jp/letters/)への投稿資格も得られます.著者に会員のいない場合も投稿可能(掲載料は有料)となりました.詳しくは上記URLの投稿規定をご覧下さい.

    以下,その他の注意点です.

    1. 今回の発表会ではポスター発表は予定されておりません.
    2. 予稿集の作成はありません.