第16回単独研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第16回研究会

 

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,第16回研究会を開催致します.

  • 開催日:2013年12月26日(木)
  • 場所:東京大学工学部6号館 3階セミナー室A・D (〒113-8656 文京区本郷7-3-1)

【特別セッション】
行列計算の数理とHPCにおける諸問題(通信削減アルゴリズム等)をテーマとした特別セッションを企画しており, セッション2 , セッション4 , セッション6 が該当します.
協賛:情報処理学会 ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

【懇親会】
研究会終了後,懇親会を開催いたします.懇親会の詳細・参加申し込み方法につきましては こちら をご覧下さい.

【運営委員会】
セッション2終了後,「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会の運営委員会を開催いたします.運営委員の方は こちら をご覧下さい.


プログラム

オープニング 主査: 曽我部 知広(愛知県立大学)(9:55 ~ 10:00)

セッション1 座長: 宮田 考史(名古屋大学)(10:00 ~ 11:00)

  • 講演1(10:00 ~ 10:20)
    IDR stepで局所的に残差ノルムを最小化するIDR(s)法
    ○大里 彰(東京理科大学大学院理学科),相原 研輔(東京理科大学大学院理学研究科),石渡 恵美子(東京理科大学),阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学)

    概要:IDR(s)法の残差を更新する過程は,残差の直交性を使うIDR stepと,安定化多項式を掛けて1次の最小化を行うpolynomial stepに分けられる.本講演では,IDR stepに局所的に残差ノルムを最小化する過程を加えた新たな方法を提案する.数値実験により,提案した方法の有効性を検証する.

  • 講演2(10:20 ~ 10:40)
    AOR Inner-Iteration GMRES Methods for Least Squares Problems
    ○LIU Lu (Tongji University),速水 謙(国立情報学研究所),YIN Jun-Feng (Tongji University)

    概要:We study the accelerated over-relaxation (AOR) inner iteration in combination with GMRES method for over-determined least squares problems. The AOR inner iteration, a two-parameter generalization of the successive over-relaxation (SOR) method, is efficient and also serves as a powerful preconditioner for ill-conditioned problems. Necessary and sufficient conditions for the proposed inner-iteration GMRES method are presented. Finally, numerical experiments on over-determined sparse least squares problems are given to show the superiority of the new method.

  • 講演3(10:40 ~ 11:00)
    周回積分型固有値解法に対する精度解析
    ○今倉 暁(筑波大学),杜 磊(筑波大学,JST/CREST),櫻井 鉄也(筑波大学,JST/CREST)

    概要:複素平面上の特定領域の固有値および対応する固有ベクトルを求める一般化固有値問題に着目する.近年,このような固有値問題に対する有力な解法として周回積分型固有値解法が注目を集めている.本講演では,周回積分型固有値解法で生成される部分空間に着目し,得られる固有対の精度解析を行う.

休憩(11:00 ~ 11:10)

セッション2 座長: 曽我部 知広(愛知県立大学)(11:10 ~ 12:10)

  • 招待講演(11:10 ~ 12:10)
    エクサフロップス時代に向けた線形計算アルゴリズムの課題と研究動向
    ○山本 有作(電気通信大学)

    概要:スーパーコンピュータの性能は10年で1,000倍のペースで向上しており,この傾向が続くと,2018年頃にはエクサフロップスマシン,すなわち1秒間に10の18乗回の浮動小数点演算を実行可能なコンピュータが登場すると予想されている.本報告では,エクサフロップスマシンで想定されるアーキテクチャを紹介し,その特徴と数値計算アルゴリズムに対するインパクトを議論する.また,大規模科学技術計算において重要な線形計算に焦点を当て,エクサフロップス時代における課題を概観するとともに,その解決に向けて現在行われている研究のいくつかを取り上げて紹介する.

昼休み(12:10 ~ 13:40)

セッション3 座長: 相島 健助(東京大学)(13:40 ~ 14:40)

  • 講演4(13:40 ~ 14:00)
    ジョルダン基底計算アルゴリズムの精度向上について
    ○小林 雅統, 桑島 豊, 重原 孝臣(埼玉大学理工学研究科)

    概要:ジョルダン基底計算アルゴリズム JBA [Kudo et al. 2010, Matsumoto et al.2012] は,特異値分解を用いた一般の正方行列に対するジョルダン標準形及びジョルダン基底を求めるアルゴリズムである.JBA では,一部の悪条件問題において小さな特異値の影響でジョルダン基底の計算の際に精度劣化を起こす場合がある.本発表では精度劣化を引き起こす計算過程を調査するとともに,精度向上のための一手法を提案する.

  • 講演5 14:00 ~ 14:20
    下3重対角行列向けoqds法について
    ○荒木翔,田中博基,木村欣司,中村佳正(京都大学)

    概要:下3重対角行列へ変換する前処理は,2重対角行列への変換に比べキャッシュ再用率が高く高速であることが知られている.この下3重対角行列に対して特異値計算を行うoqds法について,シフト戦略の構築および収束判定条件の導出をし,数値実験を行ったので報告する.

  • 講演6 14:20 ~ 14:40
    複素シュティーフェル多様体上のニュートン法に基づく複素行列の特異値分解
    ○佐藤 寛之(京都大学大学院情報学研究科)

    概要:実行列の特異値分解はリーマン多様体上の最適化問題として定式化でき,その解法に基づく新たな特異値分解アルゴリズムが得られている.本講演では,この議論を複素数の場合に拡張する.まず複素行列の特異値分解が2つの複素シュティーフェル多様体の積の上の最適化問題であることを示した後,それを実数表現での問題に帰着する工夫について詳述し,この問題に対するニュートン法を導出する.また,提案手法が近似解の精度を高めることを数値実験により実証する.

休憩(14:40 ~ 14:50)

セッション4 座長: 鈴木 智博(山梨大学)(14:50 ~ 15:50)

  • 招待講演(14:50 〜 15:50)
    時空間タイリングによる3次元FDTD法の通信削減実装
    ○岩下 武史(京都大学)

    概要:反復型ステンシル計算の一種である3次元FDTD法は電磁場シミュレーション等で広く用いられる解析手法である.反復型ステンシル計算の性能は一般にメモリバンド幅に律速されやすい.そこで,時空間タイリングを用いることにより,メモリ-キャッシュ間のデータ転送(通信)を削減し,計算速度を向上させることが考えられる.本講演では,時空間タイリング手法の紹介,3次元FDTD法へのタイリングの適用可能性,タイルサイズの自動チューニング,性能評価について紹介する.

休憩(15:50 ~ 16:00)

セッション5 座長: 多田野 寛人(筑波大学)(16:00 ~ 16:40)

  • 講演7 16:00 ~ 16:20
    GUPTRI型行列束への前処理を伴うクロネッカ基底計算アルゴリズムの評価
    ○久保田 将司, 桑島 豊, 重原 孝臣(埼玉大学大学院理工学研究科)

    概要:任意の行列束はユニタリー変換を用いて,クロネッカ標準形の構造情報をもつ一般上三角(GUPTRI)型行列束に変換できることが知られている.NAS2013では,入力行列束をGUPTRI型行列束へ前処理し,GUPTRI型行列束の5種の対角ブロックのクロネッカ基底を求め,各基底からGUPTRI型行列束のクロネッカ基底を計算後に,入力行列束のクロネッカ基底を計算するアルゴリズムを提案した.本発表では,このアルゴリズムについて,精度,計算量,メモリ使用量の観点から評価を行う.

  • 講演8 16:20 ~ 16:40
    グラム・シュミットの直交化に基づくTSQRアルゴリズムとその性能評価
    ○深谷 猛(理研AICS,JST CREST),山本 有作(電通大,JST CREST),今村 俊幸(理研AICS,JST CREST)

    概要:縦長行列のQR分解に対する通信削減型アルゴリズムとしてTSQRアルゴリズムが提案されている.TSQRの根本的なアイディアは本来ハウスホルダー型/グラム・シュミット型のQR分解の両方に適用できるものであるが,これまでは主にハウスホルダー型についてのみ評価がなされてきた.そこで,本発表では,グラム・シュミッドの直交化に基づくTSQRアルゴリズムの性能について,性能モデルによる定性的な評価と,「京」等の計算機を用いた定量的な評価を行う.

休憩(16:40 ~ 16:50)

セッション6 座長: 緒方 隆盛(NEC)(16:50 ~ 17:50)

  • 招待講演(16:50 〜 17:50)
    数値線形計算に現れる通信削減アルゴリズムについて
    ○今村 俊幸(理化学研究所)

    概要:京コンピュータやエクサスケールコンピュータでは演算量の削減よりも相対的な通信時間増加が全体の計算性能で重要となってくる.数値線形計算は多くのシミュレーションコードに現れるような隣接プロセッサ間通信だけではなく遠距離の集団通信を多用する.そのため,強スケーリングのみならず弱スケーリングにおいても良好な性能を示すとは言えない.本公演では,通信削減を中心にCA(Communication Avoiding), CH(Communication Hiding)などのアルゴリズムの効用と重要性について解説したい.

クロージング 幹事: 宮田 考史(名古屋大学)(17:50 ~ 17:55)


【運営委員会】

時間:13:00 ~ 13:30
場所:セッション会場の隣(東京大学工学部6号館 3階セミナー室B)

【懇親会】

時間:18:30 〜 20:30
場所:セッション会場と同じ(東京大学工学部6号館 3階セミナー室A・D)
会費:4,000円

懇親会に参加を希望される方は,下記の懇親会参加票にてお申し込み下さい.
なお,研究会当日の参加申し込みはできませんので,ご了承下さい.

申し込み先 (E-mail):   mepa2013 ‘@’ na.cse.nagoya-u.ac.jp
 締め切り:2013年12月18日(水)12:00  (締め切りました)