日本応用数理学会 2014年研究部会連合発表会

日本応用数理学会 2014年研究部会連合発表会

 

  • 日程:2014年 3月19日(水), 20日(木)
  • 会場:京都大学吉田キャンパス 本部構内(京都市左京区吉田本町),総合研究8号館, 工学部総合校舎
  • 連合発表会全体のWebページ:http://chaosken.amp.i.kyoto-u.ac.jp/jsiam2014spring/

プログラム(研究部会関連部分のみ)
3月20日 (木) 総合研究8号館3階 Sホール

セッション1:行列計算,HPC(10:30-11:50)

  • 講演1(10:30-10:50)
    ハウスホルダ変換によるQR分解について
    ○村上弘(首都大学東京)

    概要:行列のQR分解にハウスホルダ直交変換を用いる場合であっても,その実装に依っては行列が極めて悪条件の場合には得られる Qの正規直交性が大きく崩れてしまうことが起きうる.

  • 講演2(10:50-11:10)
    タイルQR分解のタイルサイズチューニング
    ○鈴木智博(山梨大学)

    概要:行列を小行列(タイル)に分割して行列分解を行うタイル分解は並列性の高いアルゴリズムとして注目されている.本発表では,タイル分解の性能パラメータであるタイルサイズが,行列サイズ,スケジューリング方式によりどのように変化するかを紹介する.

  • 講演3(11:10-11:30)
    OpenCLによるタイルアルゴリズムのGPU実装とスケジューリング
    ○森剛(山梨大学 M2),鈴木智博(山梨大学)

    概要:並列処理フレームワークであるOpenCLを用い,行列分解のタイルアルゴリズムを実装した.スケジューリングによる速度変化の検証や,GPUによる処理の高速化について発表する.

  • 講演4(11:30-11:50)
    Strassenのアルゴリズムを用いた多倍長行列積の高速化
    ○幸谷智紀(静岡理工科大学)

    概要:本講演では任意の行列サイズ・精度に対応し,Strassenのアルゴリズムを用いて高速化した行列積計算の性能について述べる.

セッション2:線形方程式(13:30-14:50)

  • 講演5(13:30-13:50)
    前進(後退)代入計算を含む前整調処理つき反復法について
    ○藤野清次(九州大学), 岩里洸介(九州大学大学院)

    概要:新しい考え方である,「前(ぜん)整調処理」について説明したあと,反復法の性能評価を行う.

  • 講演6(13:50-14:10)
    非対称行列系に対する柔軟なILU分解前処理について
    ○中村貴稔(慶應義塾大学 M2),野寺隆(慶應義塾大学)

    概要:大規模な線形方程式の解法の1つである GMRES法の収束を向上させる手法の1つにILU分解による前処理がある.本発表では,柔軟なILU分解を用いた前処理技法を提案する.柔軟なILU分解は,分解後の下三角行列の各列および上三角行列の各行の最大非ゼロ要素数を,計算中の各列や各行のノルムや対角要素に応じて最大非ゼロ要素数を制御することで,GMRES法の計算時間を減少できることを数値実験により示す.

  • 講演7(14:10-14:30)
    Block BiCGSTAB(l)法の構築と安定化
    ○齋藤周作(筑波大学 B4),多田野寛人(筑波大学),今倉暁(筑波大学)

    概要:本研究では,複数右辺ベクトルを持つ連立一次方程式に対して,BiCGSTAB(l)法を拡張したBlock BiCGSTAB(l)法を構築する.さらに,同解法の数値的安定化手法を提案する.

  • 講演8(14:30-14:50)
    BiCGSTAB法に対する残差のDノルム最小化手法の適用
    ○蘇黎炯(筑波大学 D1),今倉暁(筑波大学),櫻井鉄也(筑波大学)

    概要:連立一次方程式の反復解法として,Dノルム最小化手法に基づく重み付きGMRES法が提案されている.本研究では,残差のDノルム最小化手法を利用して,BiCGSTAB法の改良を試みる.また数値実験でその有効性を検証する.

セッション3:特異値・固有値問題(1)(15:00-16:20)

  • 講演9(15:00-15:20)
    コンパクトWY表現の後退誤差解析について
    ○山本有作(電気通信大学)

    概要:複数のハウスホルダー変換を行列乗算の形にまとめるコンパクトWY表現は,QR分解や直交化をはじめとして,直交変換の高性能実装に欠かせない手法である.本講演では,このコンパクトWYについて,詳細な後退誤差解析を行う.

  • 講演10(15:20-15:40)
    高精度特異値分解を実現するoqds法のシフト戦略について
    ○田中博基(京都大学 M1),木村欣司(京都大学),中村佳正(京都大学)

    概要:2分法により求まる最小固有値を用いるシフト戦略と, 不適なシフト量が与えられた際に, 再度適当なシフト量を与え直すしくみを構築しoqds法による特異値分解を高精度化する.

  • 講演11(15:40-16:00)
    リスタート処理を動的に行うLanczos法の大域的収束性
    ○相島健助(東京大学)

    概要:リスタート付きLanczos法は対称固有値問題の有力な解法であり,リスタートの際,近似固有値を定める部分空間の次元を固定する場合は収束証明が与えられてる.本発表では,この定理を部分空間の次元を動的に変える戦略に拡張する.

  • 講演12(16:00-16:20)
    シュティーフェル多様体上の最適化に基づく大域的収束性を備えた複素特異値分解アルゴリズム
    ○佐藤寛之(京都大学)

    概要:複素行列の特異値分解問題を複素シュティーフェル多様体上の最適化問題として定式化し,その問題に対する種々の最適化手法を提案する.特に,共役勾配法が大域的収束性を持つことを示し,提案アルゴリズムの振舞いを数値計算結果と共に紹介する.

セッション4:特異値・固有値問題(2),特別講演(16:30-17:50)

  • 講演13(16:30-16:50)
    一般化固有値問題向け分割統治法のsecular方程式の数値解法について
    ○廣田悠輔(理化学研究所),今村俊幸(理化学研究所)

    概要:一般化固有値問題向けの分割統治法における統治フェーズでは標準固有値問題向けの分割統治法の場合とは異なるsecualr方程式を解く必要があり,その解法は求まる一般化固有値・一般化固有ベクトルの計算精度に大きく影響する.本発表では,同方程式の数値解法について述べ,数値実験による評価結果を報告する.

  • 講演14(16:50-17:10)
    クロネッカ基底計算アルゴリズムによる一般固有値問題の解法
    ○久保田将司(埼玉大学 M2), 桑島豊(埼玉大学), 重原孝臣(埼玉大学)

    概要:最近提案したクロネッカ基底計算アルゴリズムを用いて,一般の一般固有値問題の全ての解を与える方法を紹介する.

  • 講演15(17:10-17:30)
    縦長行列の一般化固有値問題に対する最小摂動アプローチについて
    ○伊藤伸志(東京大学 M1),室田一雄(東京大学)

    概要:縦長の行列の一般化固有値問題には行列の摂動により解が存在しなくなるという問題点があるため,解をもつ行列との距離を目的関数とする最適化問題への定式化が提案されている.本講演ではその最適化問題の解法を提案する.

  • 特別講演(17:30-17:50)
    Roughed Aggregation Algebraic Multigrid
    ○Craig C. Douglas (University of Wyoming), Derrick Cerwinsky (University of Wyoming)

    Abstract: Aggregation methods represent a large class of coarseners commonly used in Algebraic Multigrid (AMG) that was introduced by Vanek in 1992. Many variants have evolved to adapt the method to particular problems and applications. Adaptive Smoothed Aggregation and the Smooth Error Method variants each present methods that avoid the necessity of explicitly finding the eigenspace of the system matrix.This talk introduces the roughed aggregation method as an alternative to the standard smoothed aggregation methods, where conjugate gradients is employed as the rougher. Roughed aggregation works in three main phases: the selection of the aggregates, construction of the prolongation operator, and filtering the prolongation operator. A significant performance gain is shown over smoothed aggregation.