第2回 3部会連携「応用数理セミナー」

第2回 3部会連携「応用数理セミナー」

 

  • 日時:2010年11月26日 (金) 9:00 – 18:00
  • 会場:国立情報学研究所 12回1208室,1210室
  • 主催:
    • 日本応用数理学会「科学技術計算と数値解析」研究部会
    • 日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会
    • 日本応用数理学会「計算の品質」研究部会

プログラム

受付(8:40 – 9:00)

開始のあいさつ 「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 主査:片桐 孝洋(東京大学)(9:00)

「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会(9:00 – 12:00)

  • 9:00 – 10:30
    講師:大島 聡史(東京大学・情報基盤センター)
    題目:GPGPUの基礎と行列計算への活用

    概要:現在、個人用のPCからスーパーコンピュータまで様々な計算機環境において、GPGPUが注目され、また広く利用されつつある。非常に高い理論演算性能を持つGPUではあるが、GPUを自分の持つアプリケーションに活用するためにはGPGPU用の言語やライブラリを用いたプログラミングが必要である。さらに、高い演算性能を発揮するためにはGPUに適した問題に対して最適な実装を行う必要がある。本講演では、GPGPUプログラミングの基礎や最適化の基本的な戦略について、基本的な行列計算を題材として解説する。

  • 10:30 – 12:00
    講師:多田野 寛人(筑波大学・システム情報工学)
    題目:連立一次方程式に対するKrylov部分空間反復法とBlock版解法の数値的性質と実装法

    概要:連立一次方程式の反復解法として,Krylov 部分空間反復法が幅広く用いられており,係数行列の対称・非対称性に応じて様々な解法が提案されている.本セミナーでは 様々な Krylov 部分空間反復法を紹介し,複数右辺ベクトルをもつ場合の解法である Block Krylov 部分空間反復法についても解説する.さらに,Block 版の解法の数値的性質,及びマルチコア環境における効率的な実装法についても述べる.

昼休み(12:00 – 13:00)

「計算の品質」研究部会(13:00 – 15:15)

  • 13:00 – 13:45
    講師:尾崎 克久(芝浦工業大学・システム理工学部)
    題目:精度保証付き数値計算の基礎
  • 13:45 – 14:30
    講師:山中 脩也(早稲田大学・理工学術院)
    題目:精度保証付き数値計算 (1)
  • 14:30 – 15:15
    講師:劉 雪峰(早稲田大学・理工学術院)
    題目:精度保証付き数値計算 (2)

概要:本セッションでは精度保証付き数値計算の紹介を行う。具体的には、数値計算の結果の正しさを定量的に求めるための方法論・アルゴリズム・実装方法について説明する。
本セッションは、3件の講演から構成される。

1件目は、精度保証付き数値計算の基礎についてできるだけわかりやすく述べる。

2件目は、精度保証付き数値計算アルゴリズムの実装について述べ、実例を用いて紹介する。

3件目は、有限要素法の誤差解析や、それを応用した精度保証付きソフトウェア等について述べる。

休憩(15:15 – 15:30)

「科学技術計算と数値解析」研究部会(15:30 – 17:50)

講師:藤原 宏志(京都大学・情報学)
題目:スペクトル法と多倍長計算による高精度数値計算

概要:本講義では,偏微分方程式の高精度数値計算を目的として,スペクトル法にもとづく離散化手法および多倍長計算を紹介する.近年の計算機の高性能化に支えられ,従来は数値的取り扱いが困難とされていた問題に対して様々な取り組みが提案されている.例えば,不安定性を有する問題は,計算誤差の増大のために高精度な数値的取り扱いは不可能であるとされていた.しかし,高精度離散化と多倍長計算により実現される高精度数値計算をもちいることで,問題の不安定性を保つような数値的に不安定なスキームの扱いが可能となり,信頼性の高い数値計算が実現される.
講義は,計算誤差についての基礎的な解説から始める.次に,高精度離散化であるスペクトル法を述べる.偏微分方程式の離散化になじみのない聴衆を想定し,具体的に微分方程式の離散化を扱う予定である.さらに,講演者らが開発している多倍長計算環境とその利用法を紹介する.

終わりの言葉 「計算の品質」研究部会 主査:大石 進一(早稲田大学)(17:50)