日本応用数理学会 2015年度年会 3部会連携OS
日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会では,2015年度年会におきましてオーガナイズドセッションを開催致します.本OSは「科学技術計算と数値解析」研究部会,「計算の品質」研究部会と当部会の3部会連携により開催されます.
- 会期:2015年9月9日 (水) – 9月11日 (金)
- 会場:金沢大学角間キャンパス
- 住所:〒920-1192 石川県金沢市角間町
- 年会全体のWebページ:http://annual2015.jsiam.org
プログラム
9月11日 (金) G会場:レクチャーホール
セッション1:行列・固有値問題の解法とその応用(1)(13:30 – 14:30) 座長:速水 謙(国立情報学研究所)
- 講演1(13:30 – 13:50)
過去の求解プロセス情報を活用した誤差修正用写像行列の構築
○岩下 武史 (北海道大学), 河口 慈 (京都大学), 美舩 健 (京都大学), 松尾 哲司 (京都大学)概要:本講演では、同一もしくは類似の係数行列を持つ一連の連立一次方程式の求解を扱う。線形反復法による求解において、過去の求解プロセスの情報を活用する誤差修正法に関して発表する。
- 講演2(13:50 – 14:10)
Cache-Cache Hierarchy 解析による反復法の性能評価
○藤野 清次 (九州大学), 児島 彰 (広島市立大学)概要:前処理つき反復法の収束性は、不完全分解中に新たに発生したフィルインによって大きく左右される。一方、行列要素に対するオーダリングの良しあしは、PCのメモリ階層の影響を強く受ける。本論文では、行列要素に対して、通常は「隠れている」PCのメモリ階層での情報の「発見」と評価を行い、フィルインとオーダリングの特性や関係を明らかにする。
- 講演3(14:10 – 14:30)
シュティーフェル多様体上のニュートン法の数値的な収束性について
○佐藤 寛之 (東京理科大学), 相原 研輔 (東京理科大学)概要:シュティーフェル多様体上の最適化問題に対するニュートン方程式は連立一次方程式に変換できる.本講演では,各ニュートン反復におけるこの連立一次方程式の解の精度とニュートン法の収束率の関係を明らかにする.
セッション2:行列・固有値問題の解法とその応用(2)(15:00 – 16:00) 座長:山本 有作(電気通信大学)
- 講演4(15:00 – 15:20)
Modulus Iterative Methods for Box Constrained Least Squares Problems
○Ning ZHENG (The Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI)), Ken HAYAMI (National Institute of Informatics, The Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI))Abstract: For the solution of large sparse box constrained least squares (BLS) problems, a new iterative method is proposed by using conjugate gradient (CG) method for the inner iterations and the modulus iterative method in the outer iterations for the solution of linear complementarity problem resulting from Karush-Kuhn-Tucker (KKT) conditions of the BLS problem. Theoretical convergence analysis including the optimal choice of the parameter matrix is presented for the proposed method. Numerical experiments show the efficiency of the proposed method compared to projection-type methods with less iteration steps and CPU time.
- 講演5(15:20 – 15:40)
実数シフトのレゾルベントの多項式をフィルタに用いた実対称定値一般固有値問題の下端付近の固有値を持つ固有対の解法
○村上 弘 (首都大学東京・数理情報科学専攻)概要:実対称定値固有値問題の固有値が下端付近にある固有対をフィルタ対角化法で解く.フィルタには固有値問題に対応する実数シフトのレゾルベントの多項式を用いる.シフトを最小固有値よりも小さい実数値に選ぶことで,レゾルベントの作用を与える連立1次方程式の係数行列は実対称正定値となり,例えば帯行列ならばコレスキー分解でしかもピボット選択をせずに解くことができる.レゾルベントの多項式の作用の計算では,最初に1回行なったコレスキー分解の結果が再利用できる.
- 講演6(15:40 – 16:00)
特異値分解に基づく行列補完の乱択による補完精度の向上について
○相島 健助 (東京大学), 佐藤 一誠 (東京大学)概要:低ランク行列補完には特異値分解を用いる手法が多々ある中で,EM法的な解法に本発表では着目し,乱択による補完精度の向上を指摘する.この知見から乱択型の同時反復法を提唱しその有効性を数値的に示す.
セッション3:行列・固有値問題の解法とその応用(3)(16:30 – 17:30) 座長:多田野 寛人(筑波大学)
- 特別講演(16:30 – 17:10)
On SSOR-like Preconditioners for Non-Hermitian Positive Definite Matrices
○Zhong-Zhi Bai (Chinese Academy of Sciences)Abstract: We construct, analyze and implement SSOR-like preconditioners for non-Hermitian positive definite system of linear equations when its coefficient matrix possesses either a dominant Hermitian part or a dominant skew-Hermitian part. We derive tight bounds for eigenvalues of the preconditioned matrices and obtain convergence rates of the corresponding SSOR-like iteration methods as well as the corresponding preconditioned GMRES iteration methods. Numerical implementations show that Krylov subspace iteration methods such as GMRES, when accelerated by the SSOR-like preconditioners, are efficient solvers for these classes of non-Hermitian positive definite linear systems.
- 講演6(17:10 – 17:30)
半正定値系に対するEisenstat SSORによる右前処理MINRES法
○杉原光太 (総合研究大学院大学), 速水 謙 (国立情報学研究所 総合研究大学院大学)概要:対称半正定値系の解法を,右辺が行列の値域に属さない場合を含め,考える.両側前処理に用いるEisenstat’s trickを,特異系の等価性を保ち易いSSOR右前処理に適用したMINRES法を提案する.