第2回単独研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第2回研究会

  • 日時:平成18年11月16日(木)
  • 場所:国立情報学研究所(NII)12階会議室(1208,1210)(〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
  • 交通アクセス: http://www.nii.ac.jp/introduce/access1-j.shtml
  • 議題:行列・固有値問題の解法、並列化、実装方式および応用
  • 研究会参加費:無料。事前登録不要。ただし懇親会は、用意の都合上から事前登録をお願いします。
プログラム

オープニング 主査:櫻井鉄也(筑波大学)(9:50 – 10:00)

セッション1(座長:伊藤祥司(筑波大))

  • 講演1(10:00 – 10:30)
    Jun-Feng Yin (国立情報学研究所)、○速水 謙 (国立情報学研究所)
    「RIF前処理を用いたGMRES法による最小二乗問題の解法」

    概要:以前提案した、GMRES法(一般化残差最小化法)を用いて最小 二乗問題を解くAB-GMRES法,BA-GMRES法において、前処理行列B としてBenzi, Tumaらの提案したRIF(Robust Incomplete Facrorization)を用いる。RIF前処理を用いたCGLS法との比較も 含め、優決定および劣決定最小二乗問題に適用した数値実験結果 について報告する。

  • 講演2(10:30 – 11:00)
    Jun-Feng Yin (National Institute of Informatics)
    Preconditioners for the Least Squares Problems Based on incomplete Givens Orthogonalization

    Abstract: Consider the preconditioned iterative method for the solution of the least squares problems ${rm min}|Ax-b|_2$, our main contribution is to construct a class of preconditioners with incomplete orthogonal factorization based on the Givens Rotations for the rectangular coefficient matrix. Theoretical analysis show that our method are numerical stable and always can get an orthogonal matrix $Q$ and an upper triangular matrix $R$. We then applied the factor matrices to precondition the Krylov subspace iterative methods,e.g., CGLS, LSQR and GMRES. A number of numerical experiments show the efficiency of our preconditioners.

  • 講演3(11:00 – 11:30)
    塩出亮(九州大学)、○藤野清次(九州大学・情報基盤センタ)
    「元の行列の非零要素に基づくib-IC(0,tol)分解つきCG法の収束性」

    概要: 三角行列の逆行列のノルム評価に基づくIC分解、すなわちib-IC分解の 収束安定性のよさが注目を浴びている。本発表では、ib-IC分解の1つの 変形版として、元の計数行列の非零要素に基づくib-IC(0,tol)分解を 提案する。ib-IC(0,tol)分解が、必要なメモリ量が少なくかつ収束性 も安定であることを数値実験を通して検証する。

  • 講演4(11:30 – 12:00)
    阿部邦美(岐阜聖徳学園大学・経済情報学部)、○藤野清次(九州大学・情報基盤センタ)
    「対称な線形方程式に対する残差2乗型共役残差法」

    概要:対称行列を係数にもつ線形方程式の解法として,共役勾配法 (CG法)と同様,共役残差法(CR法)が有効であることが知ら れている.そのCG法の発展版として,残差がCG法の残差多項式 の2乗で定義される自乗共役勾配法という解法が開発されている. 一方,CR法について,そのような解法はまだ開発されていない. そこで,残差がCR法の残差多項式の2乗で定義される対称行列の ためのアルゴリズムを提案し,数値実験によってその有効性を 検証する.

昼食(12:00 – 13:00)

セッション2(座長:直野健(日立製作所))

  • 講演5(13:00 – 13:30)
    ○ 村上 弘 (首都大学東京・数理情報科学専攻)
    「逆反復法による固有値フィルターの構成と部分空間法」

    概要:大規模な定値対称一般固有値問題の、指定区間内に固有 値がある固有対を求める。逆反復法と部分空間法を組み 合わせた解法で近似固有対を構成する。シフト量の異な る逆反復法の作用を組み合わせて、固有対成分の固有値 に基づく帯域フィルターを構成する。このフィルターを 一般的なベクトルに作用させると、固有値が区間近傍内 にある固有対成分がほとんどを占め、近似的な部分空間 が構成できる。上記方針の方法の理論的な考察を行なう。 (当日までに数値実験も行なうことが望ましい。)

  • 講演6(13:30 – 14:00)
    ○曽我部知広(名古屋大学)、星健夫(東京大学)、張紹良(名古屋大学)、 藤原毅夫(東京大学)
    「シフト複素対称線形方程式に対するクリロフ部分空間法~Shifted COCG法を中心に~」

    概要:大規模電子構造計算(量子力学に基づくナノ構造系の 動力学計算)では複素対称行列を係数に持つシフト線 形方程式(Shifted Linear Systems)を効率良く解くこ とが強く望まれている. 近年, 我々はCOCG法を用い て上記の方程式系を解くためのShifted COCG法, 更 にその性能を高めるためのSeed Switching 技術を 開発してきた. 本講演では, これらの研究成果につ いて報告する.

  • 講演7(14:00 – 14:30)
    ○鷲尾巧(科学技術振興機構)、鈴木健二、久田俊明(東京大学)
    「制約条件付問題より生じる線形方程式反復解法の理論的な諸問題について」

    概要:当研究室では、超弾性体問題、流体問題、ラグランジュ 未定乗数法による流体構造連成問題など、制約条件付の 非線形有限要素解析を行っており、それをNewton-Raphson法 で解く際に、ラグランジュ未定乗数法における特徴的な構造 を有する鞍点型の線形方程式が生じる。本講演においては、 このような問題に対して有効な前処理行列を示し、その収束性 や安定性に関わることで理論的によくわかっていない多くのこと を紹介する。

  • 講演8(14:30 – 15:00)
    中島研吾(東京大学・大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻)
    「局所細分化メッシュに基づく並列有限要素法における前処理付き反復法」

    ”Preconditioned Iterative Methods for Parallel Finite-Element Applications with Adaptive Mesh Refinement”
    概要:日本列島周辺のプレート境界における地震サイクルシミュレーション を実施するために,不均質場における三次元有限要素法解析によって 得られるすべり応答関数を使用する手法の開発が進められている。 本研究では,三次元不均質場について局所細分化を有するメッシュを 並列計算機上で自動的に生成し,前処理付き反復法を使用した有限 要素法構造解析を実施する。最適な負荷分散についての検討も実施する。

休憩(15:00 – 15:15 )

セッション3(座長:片桐孝洋(電気通信大学))

  • 講演9(15:15 – 15:45)
    ◯ 桑島 豊(埼玉大学・大学院理工学研究科)、重原 孝臣(埼玉大学)
    「実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の改良」

    概要:我々は今までに、実対称三重対角行列固有値問題に対する分割統治法を、 2分割から多分割へ拡張したアルゴリズムを提案した。 この拡張により、演算量が分割数に応じて減少する。 今発表では実装方法について論じ、高い精度で求めることが困難な 固有ベクトルの計算方法の改良について述べる。 また、この実装方法を用いたときの最適な分割数について考察を行う。

  • 講演10(15:45 – 16:15)
    伊藤 祥司(筑波大学・システム情報工学研究科/学術情報メディアセンタ)
    「線形方程式求解アルゴリズムに対する求解性能データに基づいた体系的な性能比較」

    概要:本講演では,線形方程式求解アルゴリズムに対する,求解性能 データの分析に基づいた体系的評価の研究概要について説明する. また,これまでに得られら実験データから,反復解法と前処理の 各々の効果について興味深い事柄を確認したので紹介する.

  • 講演11(16:15 – 16:45)
    ○木原 崇智(筑波大学・大学院システム情報工学研究科)、 小瀧 義久(筑波大学・大学院システム情報工学研究科)、 多田野 寛人(科学技術振興機構)、 櫻井 鉄也(筑波大学・大学院システム情報工学研究科)
    「GridRPC/MPIハイブリッドによる修正多重リスタート付きArnoldi法」

    概要:大規模標準固有値問題の並列解法として多重リスタート付き Arnoldi法がある.この方法は解への収束が停滞する可能性が あるが,本発表ではこの問題の回避法について述べる. 提案法をGridRPCシステムであるNinf-GとMPIのハイブリッド 環境で実装し,数値実験によって有効性を示す.

  • 講演12(16:45 – 17:15)
    ○澤村 明賢(住友電気工業(株))
    「計算材料科学に於けるJacobi-Davidson法と規格直交化」

    概要: いわゆる計算材料科学で問題が「解けた」とは自己無撞 着な電子間ポテンシャルまたは電子密度が分かった事で あり、その為には最も深い準位だけでなく、電子で満ち ている準位が計算できている必要がある。だがこれには 直交化が不可避であり、ここが計算時間のネックになる 可能性もある。今回Jacobi-Davidson法の修正方程式に 着目し、直交化の負担を減らし得るか否か、テスト計算 を行った。

クロージング 速水謙(国立情報学研究所)(17:15 – 17:25)

懇親会(17:35 – 19:35)
会場:国立情報学研究所 3階喫茶室

 

懇親会参加申し込み:

---11月8日(水)までに、片桐(katagiriアットマークis.uec.ac.jp)まで-----
--ここから--------------------------------------------
第2回 行列・固有値研究部会 研究会
懇親会参加申し込み

11月16日(木)17:35からの懇親会に参加します
お名前:
ご所属:
会費: 2500円
--ここまで---------------------------------------------